ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

失敗続きの柿のタルトタタン

野菜の直売所へ行ったら、段ボールいっぱいの熟柿を発見。お値段なんと22個で480円だ。その時すでに私のかごには5個で350円の柿の袋が入っていた。さて、どうする。

柿はシャキシャキと歯応えのある硬めが好きだ。でも夫は熟柿をスプーンで掬って食べるのが好き。段ボールのは「やわ」と書いてある通り、かなり柔らかそうだが、全部が全部ぐちゅぐちゅしているわけではなさそう。なんと言っても破格のお値段が魅力的なので、買うことにした。

 

何を作るか考えて、柿をたくさん使えそうなタルトタタンはどうかなと思った。普通はりんごだけど、応用編ってことで。

 

でも早くも一抹の不安。柔らかすぎるのだ。普通はバターと砂糖でりんごをキャラメリゼするけど、ヴィーガン仕様だから砂糖で煮てみた。それがいけなかったのか、さらに柔らかくなってしまった。

でも、伝統菓子タルトタタンって元々は失敗から生まれたレシピだったのだ。そう考えると気が楽になり、柔らかすぎて廃棄寸前だった段ボールの柿をたっぷりと使えるのだから、幸せだなと思った。

 

型に柿を入れ、ラップを敷いてギュッギュと押しつけていく。ぐにゃっと潰れそうだけど、何とか形を保ってほしいなぁ。

パイ生地は普通、小麦粉と塩とバターで作ると思うけど、ヴィーガン仕様でココナッツオイルを使ってみた。

 

ここでまた失敗。冷蔵庫で30分寝かせたら、生地がガチガチに固まってしまったのだ。ココナッツオイルの性質をすっかり忘れていた。冷えるとコチコチになっちゃうのよね。

 

なんとか無理やり伸ばして柿の上にのせてみたけど、のせた後でふと気づいた。もしかして生地を型より大きくするのだったかな。サイドに挟み込むんだったような。

しかも、ここで痛恨のミス!生地にフォークで空気穴を開けるのをすっかり忘れてしまったのだ。ああ、ため息ついても時すでに遅しで、もうオーブンの中で焼け始めていて。

 

タルトタタンは名前の由来が面白い。フランスでホテルタタンを経営していたタタン姉妹のうっかりミスから誕生したお菓子なのだ。

 

姉妹がある日りんごタルトを作る際に、タルト生地を忘れてりんごだけ焼いてしまい、慌てて途中で生地を上にのせて焼いたという。半ばあきらめてひっくり返してみたら、見たこともない新しいお菓子が出来上がっていたそうだ。お客さんにも大好評で看板メニューになったとか。

 

タタン姉妹が営んでいたホテルタタンは今なお同じ場所にあり、生地を入れずに焼いてしまったかまども当時のままあるそうだ。わぁ~行ってみたいなぁ。

19世紀後半のこと。
パリソローニュ地方のラモット・ブーヴロン(Lamotte-Beuvron)にタタンという名の姉妹が経営する小さなホテル“タルトタタン(HOTEL TATIN)”がありました。
出典:

エピソードはこちらのサイトを参考にしました。

エピソードも素敵!林檎のお菓子「タルトタタン」の秘話とおしゃれレシピ集 | キナリノ

 

200℃のオーブンで30分焼き、冷めたところでいよいよひっくり返す。この時がいちばんドキドキする瞬間。

ちょっとゆるいところもあるけど、なんとか形になっていてホッとした。実は種を全部取り除いたと思っていたのに、1番上の柿に種がはっきり見えていて焦り、慌ててミントの葉でカムフラージュ。1枚でいいんだけど、変なのでもう1枚。

 

水切り豆乳ヨーグルトを添えていただく。失敗続きでハラハラドキドキしながらも、なんとか出来上がったので、よけいにうれしくて美味しく感じた。

タルトタタンは「世界最高の失敗作」と言われているそうだ。パイは生地を下に敷くのが常識だから、生地を上にのせるなんて発想は誰にもできない。

 

うっかりミスから全く新しいお菓子が生まれ、そのミスが今では「世界最高の」と称えられるようになるなんて、失敗も捨てたもんじゃないと教えてくれる。段ボールにまだまだ残っている柿で何か作ってみよう、失敗を恐れずに。

 

 

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