今週のお題「好きなおやつ」
NHKのEテレで放送されている「グレーテルのかまど」という番組をご存知ですか? 世界中のお菓子を紹介する番組で、2011年から放送されているのですが、おもしろくてずっと見ています。
毎回小説や映画に登場するお菓子や、実在の作家や芸術家、皇帝や貴族が愛したお菓子がエピソードとともに紹介されるんですが、いろんな人の人生がからんでいて、実に興味深いんです。以前もこの番組のことを書きました。
この前紹介していたのは、「ぺ・ド・ノンス(修道女のおなら)」という、なんとも変わった名前のお菓子。
修道女がおならをした拍子に生地を油に落としてしまったそうな。そこから偶然に生まれた素朴な揚げ菓子だそうです。ロートレックが愛したお菓子として紹介されていました。
修道院って戒律が厳しいイメージで、甘いお菓子とは結びつかなかったのですが、実は今伝統的に食べられているお菓子も、元々は中世のころに、修道女たちが試行錯誤を重ねて生み出したものが多いと聞きます。
門外不出で何世紀もの間守られつづけ、その修道院で代々受け継がれてきたレシピが、布教活動とともに世界中に広がっていったそうです。カステラなどの南蛮菓子もそうやって日本に伝わってきたんですね。
修道院ごとに代々伝わっている特別な伝統菓子があるようで、知れば知るほど歴史や文化を感じ、興味が湧きます。
今日は秋になると真っ先に食べたくなる「好きなおやつ=焼きりんご」を修道院レシピで作ってみました。
用意するのは、りんご。中に詰めるのが、デーツとレーズン、オレンジの皮もすりおろして使います。それとシナモンスティックとスターアニス。
最初にりんごの芯をくり抜くのですが、いつも力余って底までくり抜いてしまうんですよ~(泣)そうならないように慎重に!
種を取って刻んだデーツとレーズン、すりおろしたオレンジの皮。レシピではバター40gとあったのですが、ココナッツオイルで代用。でも油っぽくしたくなかったので、10gだけ入れてみました。
りんごに詰めてシナモンスティックを刺し、スターアニスも上の方においておきます。絞ったオレンジ果汁にラム酒をちょっと混ぜて耐熱容器に入れ、りんごを並べます。180℃で約40分、途中で汁をりんごにかけながら焼きました。
こんな感じに焼き上がりましたよ💛 葛乳酸菌で作った豆乳ヨーグルトを水切りした豆乳クリームを添えて。
食べてみたら、甘くない! 考えてみたら、このレシピには砂糖やはちみつなどの甘味がなかった。昔は修道院に限らず、お砂糖は貴重で贅沢品だったと想像できます。果物だけで十分に甘いから、余計な甘さは要らないということかな。
参考にしたのは、スペインに14年の在住経験がある丸山久美さんの本。この焼きりんごはバスク地方の小さな村、サルバティエラにある聖ペドロ修道院で、クリスマスイブや修道院長を決める日など特別な日に食べられるそうです。
カヌレもフランスのボルドー女子修道院で作られ始めたもの。マカロンはフランスのコルムリー修道院で初めて考案されたという説や、イタリアからフランスに嫁いだメディチ家のカトリーヌ・ド・メディシスによって伝えられたという説も。
栄養価が高く「肉を食べない修道女にはマカロンを」の教えと共に、各地の修道院にその製法が伝わったそうです。(「修道院のお菓子と手仕事」より)
修道院というと今まで薬草にばかり目が向いていましたが、「修道院のお菓子」も大変歴史と伝統のある分野なので、じっくり勉強してまた作ってみたくなりました。卵・牛乳抜きで、勝手にヴィーガンレシピにアレンジしても許されるでしょうか、、家で食べるくらいならいいかな。