ずっとヴィーガン暮らし

菜食と薬草のおうち歳時記

またドクダミの季節がやってきた

本格的な夏がやってくる前に準備したいこと。それは虫刺され対策に、ドクダミとヘビイチゴのチンキを作ることだ。どちらも痒み止めに効果があるので、ダブルで準備しておけば心強い。

 

庭に出る前にシュッとスプレーしたり、刺された後に皮膚に塗ればスーッと痒みが引いていく。こうした植物利用の伝承は、昔の人々の知恵と実践の賜物だと感じる。一度自然ぐすりのよさを実感すると、もう市販の薬には全く手が伸びなくなる。

 

ドクダミもヘビイチゴも始まりは2年前のこと。野草生活に憧れがある私は、どうしてもその2つが庭に欲しくてわざわざ探しに行ったのだ。車で田舎道をぐるぐるして、日陰のじめっとした所に生えていたのをやっと見つけた。ほんの少しだけありがたくいただいて来て、ダメ元で庭に植えてみた。

 

うれしいことに、それがすっかり根付いて、昨年はドクダミとヘビイチゴのチンキを作ることができた。今年もドクダミは元気いっぱいに広がっている。

ヘビイチゴの方は何粒か見えるけど、残念ながらチンキを作るほどはないみたい。今年はドクダミチンキ1本で夏を乗り切ろう。

お花を集めて、消毒した瓶に詰めていく。アルコール度数の強いウォッカをひたひたまで注ぐ。

このまま1ヶ月ぐらいおいて、漉したら完成だ。使いやすいスプレー瓶や小さいスポイト瓶に移して。

 

またドクダミチンキは喉の痛みにも効果的なので、お白湯にたらして飲んだり、うがいしたりと風邪の季節にも重宝する。まさに「十薬」と呼ばれるくらい薬効の多いドクダミだ。

葉っぱの方は、干しておいてお茶にするつもり。ドクダミの葉っぱはハート型で可愛い。

左からドクダミ、ローズマリー、ラベンダー、セージ

今年はドクダミでちょっと違うこともやってみた。5月は散る直前のバラを水に浮かべて飾っていた。時間差で散っていくので、とっかえひっかえ1ヶ月は室内のバラも楽しむことができた。6月はそれをドクダミでやってみようかなと。

見た目はすごく涼しそうでいい感じだ。でも、バラのいい香りと違って、なんか臭う。ドクダミの中国名は「魚腥草」で「魚のような生臭さのある草」という意味だそうだ。玄関に魚の臭いが漂っても困るし、やっぱりやめようかな。

ところで、下水道がまだ整備されていなかった昔は、トイレの近くに抗菌作用のあるドクダミを植えて排泄物の臭いを和らげていたという。トイレにドクダミを直接投げ入れて、菌の繁殖も防いでいたというから、ドクダミの力は半端ない。

 

ハーブ王子こと、野草研究家の山下智道さんの本「野草と暮らす365日」にも、同じような体験が、幼い頃のドクダミの思い出として語られている。

 

家のトイレの四隅に、摘んだばかりのドクダミが吊り下げられていて、最初の2、3日はドクダミの強い香りが子供心に不快だったが、4日めあたりから不思議とドクダミの香りもトイレの臭いも消えていたそうだ。

後に調べてみると、ドクダミの生葉は抗菌作用や消臭作用があるとのこと。母の暮らしの知恵に脱帽する。

その山下さんが「ドクダミの消臭フレグランス、梅雨時の嫌な臭いも一気に解消」と玄関にドクダミを飾ることを勧めていたので、そのまま飾っておくことにした。4日めあたりから消臭効果が出てくるかもしれない。

 

さて、葉っぱの方もすっかり渇いたので、お茶を煮出してみた。ドクダミに、ナツメとシナモンをブレンドして飲みやすくした。ナツメの甘さとシナモンのスパイシーな香りが効いていて、とても美味しかった。体を温め、むくみを解消し、血液をサラサラにしてくれる薬膳茶だ。

中国では食用としてのドクダミ利用も盛んだそうだ。ドクダミの生葉をライスペーパーでくるんだり、根を和え物にしたり。やってみたい気もするけど、馴染みのないことにトライするのはちょっと不安だし、それなりの勇気も要る。

 

植物療法の本を読んでいると、たまに驚くような利用法も出てきて、臆病な私は尻込みしてしまう。知識は増えても、なかなか実践が追い付いていかない。植物療法は一朝一夕にはいかないものだなぁ。それでも少しずつ、少しずつ、生活の中に取り入れていきたい。ドクダミがちょっと馴染んできたように。