植物の声を聴き、ハーブを自在に操る薬草魔女。ハーブにまつわる伝説や逸話を読むのが大好きな私にとって、薬草魔女は憧れの存在だ。少しでもそんな世界を体感してみたくて、毎月ちょっとした「薬草魔女しごと」を宿題のようにやっている。
普通のハーブワークじゃなくて、あまり馴染みのない、変わったレシピをあえて選んでみる。果たして信じてよいものか、なんか怪しくないかと、ちょっぴり不安を感じながら作るのがまた楽しい。
ハーブの課題を選ぶ時に参考にしているのが、こちらの薬草魔女本だ。

今月は上段中央の「魔女の手引書」から、カモミールを取り上げることにした。この本は美しいイラストとともに、神話・伝説・歴史・文学・レシピなど、ハーブのお話がぎっしり詰まっていて、いつまででも見ていたくなる素敵な本だ。
カモミールといえば、もっぱらお茶で楽しむぐらい。以前お花をたくさんのせてカモミールケーキを作ったけれど、お花の黄色い部分は正直まずかったなぁ。それからはカモミールのお花は飾るだけで食べません。(笑)
まずは「カモミールワイン」を仕込んでみる。本によると、眠りを助けるカモミールティーとは違って、カモミールワインは活力を与えてくれるという。ちなみに花言葉は「逆境における活力」だそうだ。
本のレシピにはカモミールの花50gとか、すごい量が書いてある。私はお酒も飲めないし、今回はお試しということで全体的に少なめにしてみた。庭のカモミールは控えめに可愛く咲いている。どれだけ花を集めたら50gになるのやら。

カモミールの花10個、てんさい糖10g、陳皮3g、白ワイン120mlにしてみた。(本のレシピではブラウンシュガー、オレンジピールとなっている)

これを白ワインに漬け込んで、10日間寝かせておけばカモミールワインができあがるらしい。

「カモミールはさまざまな地域で、白・赤ワインに漬けられることが多く、太陽の香りをもたらします。」だって。古代エジプトでは、カモミールは聖なる花として太陽神ラーにささげられていたそうな。
また、19世紀には「カモミール・ビター」という有名なトニックもあったというから、カモミールがアルコールと相性がいいことは、昔からよく知られていたのだろう。
ワインができあがる頃に、「カモミールスープ」も作ってみた。これはすごく楽しみ。野菜スープとハーブティーの融合のような不思議なレシピだ。ブイヨンも入れないので、素材の持ち味を活かしたスープになりそうだ。
材料は、人参・玉ねぎ・リンゴ・カモミール。初めて見る新鮮な組み合わせだ。

レシピには「30分間野菜を煮る」としか書いてないので、カモミールは後から入れることにした。確かにカモミールをぐつぐつ煮るイメージはない。香りも飛ぶし、苦みが出るかもしれない。
濾す前に味見したら、何とも言えない爽やかな味だった。リンゴが入っているので、リンゴの味もするんだけど、素朴な野菜スープに甘酸っぱさが加わって、爽やかな風味が増している感じ。これが「大地のリンゴ」と呼ばれるカモミール効果かな。
お花を浮かべたカモミールスープとカモミールワイン。

日頃お酒を飲まないので、正直カモミールワインが美味しいのかどうかわからない。でも、カモミールとミカンで口当たりがよく、飲みやすかった。気のせいか、活力をもらって元気が出てきたような。スープは初めて味わう爽やかな風味で、自分的には大ヒットだった。
余ったスープを冷蔵庫に入れて翌日飲んでみたら、爽やか感が増してもっと美味しくなっていた。このスープは冷やした方がいいみたい。
5月の「薬草魔女しごと」の課題は、なんとかこれでクリア。馴染みのないレシピだったけど、予想以上に美味しくてびっくりした。まだまだ薬草魔女見習いの修業は続く。6月は何をしようかな。