咲かない、咲かないと気を揉んで、今年はもうダメなんだろうとすっかり諦めていたところへ、いきなりのサプライズ!ふわーっと庭の金木犀が一気に開花しました。
地域のニュースでも「金木犀が1ヶ月遅れでやっと咲きました!」と大騒ぎ。馥郁たる香りで遅めの秋の幸せを人々に運んでいるようです。
今年は異常気象続きでした。夏は毎日のように大雨が降り、10月には真夏日が続いてクーラーをつけないと夜も寝苦しいほど、いったい今の季節は何?という感じでした。人間同様、金木犀も調子が狂っちゃったんでしょうね。
それでも1ヶ月遅れで一斉に開花するなんて、実に不思議です。時が満ちれば自然と花開くということか。
喜びもひとしおで、数日間はただただ眺めていましたが、散ってしまう前に恒例の季節の仕事。まずはお茶でいただきました。緑茶とのコラボがお気に入りです。
そして今年は初めて金木犀の蒸留をやってみました。
家庭用蒸留器リカロマミニに水を入れ、台を置きます。真ん中に小さなビーカーを置いて、周りに金木犀の花びらをセットします。
蓋を載せたらスイッチオンし、水を沸騰させます。
いい香りが部屋中に漂ってきました。下の水がどんどん蒸発し、蓋に載せた氷で冷やされて、真ん中のビーカーにポタポタ落ちて来る仕組みです。
20分で100㎖のフローラルウォーターが採れました。冷めたらスプレー瓶に移して完成です。蒸留後の花びらはお茶パックに入れてお風呂で楽しみ、土に返します。
この蒸留器を購入した時は、うまく活用できるか、宝の持ち腐れにならないか心配しましたが、だんだん慣れてきて、思いついた時にすぐにお花やハーブを蒸留できるので気に入っています。
自家製のフローラルウォーターは防腐剤等が入っていないため、1~2週間ぐらいで使い切りますが、化粧水、ルームスプレー、お掃除、アイロンにといろいろ使えて便利です。
疲れた時、気持ちが沈んでいる時に、顔まわりにシュッとひと吹きすると、いい香りに包まれ一瞬で 生き返る~!
今年も花びらで金木犀のジャムシロップを作りました。白ワインと甜菜糖で煮込んで、仕上げにラム酒をちょっと加えると大人っぽい味に。桂花陳酒という金木犀のお酒があればもっとぴったりなんだけど。
そして、今年初めて金木犀の発酵シロップをやってみました。台湾でベストセラーになった「台湾漬 二十四節気の保存食」という本に出ていたレシピです。
作り方はシンプル、消毒したガラス瓶に金木犀の花びらと砂糖を交互に入れて、常温に置くだけです。2ヶ月ぐらいで金木犀が発酵したら出来上がるそうです。
お試しで小さめの瓶で作ってみました。いつも私が作っている酵素シロップは、毎日かきまぜて1週間~10日ぐらいでぶくぶくと発酵するのですが、こちらは静かに置いて砂糖がゆっくり溶けるのを待つようです。
金木犀のシロップのことを「桂花釀」と書いてありました。「かもす」という漢字ですが、口が二つあって難しいバージョンのほうですね。それでも漢字を見れば、何となく意味がわかるから嬉しいです。同じ漢字圏ですね。
今年はすっかり諦めていたところへ、サプライズの開花だったので感激しました。関東の方では金木犀が二度咲き、三度咲きしたというニュースもあり、やっぱりいろいろな気象の影響が出ているんでしょうね。
「異常気象だから」で済ませるのは簡単だけど、その原因は長年の人間の営みにあるのは明らかなこと。自然の恩恵を受け続けたいなら、あえて不便な生活を享受するとか、ダウンシフト(物質主義から降りる、減速生活)するとか、まずは自分の生活から変えなければと思っています。
それにしても1ヶ月もの間、金木犀は何をどうやって自分を調整していたのでしょう。すごく気になります。最後には咲いたんだから、やっぱりすごい。
<蒸留のことはこちらに書きました>