ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

おがくずの中に埋まっていたユリ根

デパ地下にはあまり縁がないが、野菜売り場を覗くことがある。ビーツやトレビスといった、ちょっと珍しいオシャレな野菜に出合えるからだ。

 

今回の邂逅はユリ根。お節や京懐石で食べたことはあるけど、日常的にお馴染みのものではない。だからおがくずの中に埋まっていたユリ根を見つけた時は「へぇ、こんなふうに売ってるんだ」と驚いてしまった。

 

なんだか未知の世界でワクワク。これは買いだろう。久々にデパ地下に来てよかった!

 

店員さんに「これはどうやって買ったらいいのですか」と聞くと、「そこのビニールに入れてレジへ持って行ってください」とのこと。

 

おがくずで姿もよく見えないまま、手探りで1個だけ袋に入れた。高級な珍野菜かと思いきや、198円で手頃なお値段だった。

さて、このユリ根をどうしようか。調べてみると、おがくずに埋めておけば長く保存できるという。遠慮してしまい、埋めるほどのおがくずを入れなかったことが悔やまれる。

 

迷った末、まずはシンプルに「ユリ根のお粥」を作ってみることにした。洗ってみたら、こんな感じ。名前の通り、まさに球根だ。(園芸は球根、食用は鱗茎と言うそうだ)

一枚ずつ剥がしていって、黒ずんだ部分を取り除く。おもしろいように剥がれていく。こんな手作業は本当に楽しい。ユリ根はタマネギやニンニク、らっきょうの仲間だというけど、妙に納得。

ユリ根って栄養価が高い、優れものらしい。「造血のビタミン」と呼ばれる葉酸が多く含まれ、貧血対策・滋養強壮にと、昔は産後の母親や病人の体力回復に食べさせたという。痛み止め、利尿、咳止めに効果があり、中国では古くから漢方薬として使われてきたそうだ。

 

食用・薬用に優れたユリ根。素材そのものをじっくり味わうのに、お粥ほどいいものはないだろう。ある程度お米が柔らかくなってから、ユリ根を加えた。

白いお米に、白いユリ根。とても上品なお粥が炊き上がった。芋類のようなホクホク感に加え、粘り気もあり、優しい甘さの中にほんのりと苦みも感じられる。

素朴だけど奥深い上品な味わいで、実に美味しかった。ちなみに英語名はLily bulbだそうだ。ごつごつした見た目を思うと、リリーって言うのが可愛くて、なんか笑っちゃう。

 

でも、百合の花言葉は「高貴」「純潔」「無垢」だというから、おがくずのベッドに、大切にされて、優しく包まれていたのも、言われてみれば百合のイメージにぴったりだ。

 

まだ半分以上余っているので、豆乳で「ユリ根のポタージュ」を作ってみた。ごま油で刻んだニンニクを炒め、ユリ根を加えてさらに炒める。水を加えて煮たら豆乳を加えてひと煮たちさせ、塩・こしょうで味を整える。

 

ハンドミキサーでガーっとしたら出来上がり。パセリとレッドペッパーを散らして。

こちらもとても素朴で優しい味。ブイヨンなどを使わなくても、素材の持つ力で十分、お腹にじんわりと沁みわたっていくような確かさを感じた。

 

料理家のウー・ウェンさんによると、中国語の「百合(バイホァー)」は同音で「百和(バイホァー)」があり、「すべてよい」という意味だそうだ。中国ではおもてなしの時にユリ根を使うと、お客様を大切に、仲良くする気持ちを表すという。

 

伝統野菜でありながら、今まで全く知らなかったユリ根。おがくずの中に埋まっていた姿も衝撃的だったけど、何よりその奥深い味わいが気に入った。「ユリ根まんじゅう」という料理があるようなので、そちらも興味津々、いつか作ってみたい。

 

 

retoriro.hateblo.jp

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