ずっとヴィーガン暮らし

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ライアー雑話

ハーブを学ぶ人たちに絶大な人気を誇る聖ヒルデガルト。薬草学の母として知られているが、実は音楽家としての功績も大きい。世界最古の典礼劇オペラを始め、聖歌が全77曲残されている。その偉業は長い間埋もれていたが、1980年代から評価が高まり、今ではCDやYouTubeで彼女の曲を聴くことができる。

 

その独特の旋律を初めて聴いた時は、なんとも不思議な世界に惹きこまれた。まるで時空を超えて宇宙空間を漂っているような、祈りの渦に包まれているような、自分が無くなってただ共鳴するだけの存在になったような、、。作品自体が幻視体験に基づくものだというのも納得できる。まさに「天体音楽」なのだ。

 

あの旋律は楽譜に書けないのではと思っていたのだが、なんと貴重なヒルデガルトの楽譜が手に入った。ベビーライアーのリトルミンストレルで弾けるかな。

一見するとシンプルに見える楽譜だけど、いざ弾こうとすると小節もないし、正直これだけではつかみどころがない。幸いCDを持っているので、CDを聴きながら楽譜と照らし合わせて少しずつつかんでいこうと思う。

私がライアーという楽器を知ったのは、ヒルデガルト講座の中で先生が「ヒルデガルトはベビーライアーを弾いていたのではないかと言われています」とおっしゃったからだ。ライアーってどんな楽器なのと、俄然興味を持ってベビーライアーを検索し、シュタイナー教育で使われるリトルミンストレルに出合った。

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その後、ライアーという楽器は1926年にシュタイナーの影響を受けた2人の青年によって考案されたと知った。ドイツを中心にシュタイナー学校の場で、また音楽療法の場で使われているそうだ。

 

それでは中世の修道女だったヒルデガルトが弾いていた楽器は何だったのだろう。「ヒルデガルトがベビーライアーを弾いていた」という話は違うのかなと思っていたら、今回楽譜を出品していた方も「ヒルデガルトは10弦の琴とともに歌いました」と書いていた。やっぱりそうなのか。10弦の琴って、ベビーライアーのこと?

 

ライアーはドイツ語(Leier)、英語ではリラ(Lyre)で、どちらも日本語に訳すと「竪琴」になる。私は竪琴と聞くと、なんとなく大きい楽器のハープのイメージがあったけど、小型のライアーや大型のハープも含む総称ということらしい。

 

調べてみたら、ライアーの起源は大変古く、古代ギリシャにはその原型があったとされ、ギリシャ神話の中にも登場するという。またケルト神話には「ダグザの竪琴」というお話があり、3本の弦を持つ魔法の竪琴が出てくる。

 

ライアー(リラ)はローマ時代以降ヨーロッパ各地に広まり、形状や演奏法も多様化するが、本来のライアーは次第に人気が落ち、ヨーロッパ音楽の主流からは完全に失われ、宗教画の中でイメージとして強く残る存在になったということだ。(参考「ライリッシュ・竪琴連盟」より)

 

そう言えば、天使はよくライアーを持っている。

pixabayより

ちなみに「リラ」で検索したら、こんな画像もあった。木が見事にライアーの形になっていて面白い!

pixabayより

現代のライアーはシュタイナー教育、音楽療法に基づいて、療育現場において繊細な子供たちのために誕生した楽器だという。その音色は深く、透明で、ポロンポロンと鳴らしただけで心の奥まで癒される。とても内省的な楽器なのだ。

 

私のベビーライアーは11弦で、#や♭の半音もない。それでも結構弾ける曲があって、讃美歌や子守歌などを楽しんでいる。2台目のライアーは22弦あるので弾ける曲の幅はぐっと広がったけど、弦を挟むように右手と左手で両サイドから弾くので、これがなかなか難しい。でも両手を合わせて合掌しているようでもあり、神聖な気もちになる。

 

ここからは完全に余談。(物欲丸見えで大変お恥ずかしい話だけど、書いてしまいますね。)ある日、ライアーの彫細工があるアンティークの椅子を見つけて、一目惚れで買ってしまった。20代、40代とイギリスで暮らしていたけど、こんな椅子は見たことなくて、衝動買い。ああ、物は増やさないと決めていたのに。

そして、この椅子が届いた翌日のこと。佐賀県で開催された「有田マルクト」という蚤の市に出かけたら、なんとライアーの壁掛けを見つけてしまったのだ。数あるテントの中で、こんな逸品に出合うとはどういうことなのか。

ライアー、引き寄せ?

物は増やさないという決心がまたまた鈍り、買ってしまいました。

私の大好きなカポーティの「草の竪琴」にはこんな一節がある。

聞こえる?あれは草の竪琴よ。いつもお話を聞かせているの。丘に眠るすべての人たち、この世に生きたすべての人たちの物語をみんな知っているのよ。わたしたちが死んだら、やっぱり同じようにわたしたちのことを話してくれるのよ、あの草の竪琴は。

風に揺れる草が奏でる音を「草の竪琴」と呼ぶとは、なんて素敵な比喩だろう。ちなみに原題は "The Grass Harp"で、ここでの竪琴はライアーではなく、ハープのようだ。

 

 

☆写真のCDは9枚組のコンプリート版ですが、欠品中のようなので、こちらをご紹介しておきます。1枚のCDです。


ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:神々しい黙示録

 

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