ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

念願の牧野植物園へ

高知一人旅~その①「牧野植物園」

 

「日本の植物学の父」と言われる牧野富太郎博士。美しく細密な植物画に魅せられて、いつか高知にある牧野植物園に行ってみたいなと思っていた。でも、思っているだけではなかなか実現しないもの。

 

それが、来年の朝ドラが牧野博士のお話だと聞き、ほとんど衝動的に旅に出た。観光客が押し寄せる前に、これは絶対行かねばと。

 

行く前にまずは人物像を知ろうと伝記を何冊か読んでみた。幼い頃から植物に興味を持ち、ほとんど独学で学ぶ。裕福な家の跡取りだったが、研究に没頭するあまり実家の財産を使い果たし、さらに借金は膨らむばかり。晩年になってやっと認められるという波乱万丈の人生だ。

 

それでも、どの写真も満面の笑顔。こんなに笑顔の素敵な人も珍しい。きっと周りの人を虜にする魅力的な人だったに違いない。その辺は朝ドラでたっぷり描かれるだろう。

 

朝一番の飛行機で高知へ飛んだ。高知駅には11時前に着いたが、植物園に行くバスが11時45分発。ちょっと無謀だけど路面電車に乗って、大急ぎで高知城まで行ってみることにした。

可愛い路面電車

線路の中にシロツメクサが咲いている!

バスの時間を気にしながら、高知城まで走る。ああ、ゆっくり見たいけど、今回の目的は牧野植物園だから。

高知城を後にして、植物園行きのバスに飛び乗った。牧野植物園は五台山の中にある。バスで登って行くと、こんな山のてっぺんに植物園があるのかと、早くも感動してしまう。

正門から受付に行くまでに、土佐の植物生態園がある。鳥の声、水のせせらぎ、植物の香り、早くも癒される。

とにかく広い。ものすごく広い。資料によると約8haの園内に、博士ゆかりの野生植物などが3,000種類以上あるとか。

 

せっかく来たからには全部見て回りたいと早くも欲が出る。案内図を見ながら、まずは薬用植物区を目指す。

 

170mも続く回廊をゆっくり歩く。山の上にあるので見晴らしがすごい。まわりの自然と一体になっていて、どこまでが植物園なのかわからないくらい。

薬用植物区にはハーブがいっぱい。牧野博士の笑顔のイラストがハーブを親しみやすく解説してくれる。

見事なナスターチウム

レモンバーム、レモングラス、レモンタイムなど

薬用植物区では、シナモンの木やエキナセアの花、数種類のセージなど、たくさんのハーブを見ることができて大満足。

 

昨年から大樹巡りの旅をしているけど、園内には魅力的な木々も多かった。

空に伸びるセンダンの木

猿も登れないツルツルのサルスベリ

園内は起伏がありすぎて、植物園を歩いているのか山を登っているのか、体力勝負。暑さですでにふらふらになってきた。

まるで山の中

トビカズラという不思議な木があった。葡萄の房のような花と実が見られるそうだが、まだその時季ではないようだ。実に触ると無数の棘で大変なことになるらしい。仏教の世界では三千年に一度開花すると言われている霊花だとか。

不思議なトビカズラ

次々と珍しい木が登場。根の背面が肥大して屏風のようになったツブラジイの木。

ツブラジイの板根

木々の中を登って行くと、見晴らしの良いところに出た。空気がいい。ついさっき飛行機の中から見た高知の街が見下ろせる。ベンチに座ってほっと一息。

山の上には圧巻のお花畑が広がっていた。見る人たちを幸せにしてくれるけど、これだけの広さの植物園を維持するのは大変だろうな。関係者、スタッフの方々に脱帽だ。

園内には所々に牧野博士の植物図が設置されていた。

バイカオウレンは牧野博士が幼少期から特に好んだ花で、牧野植物園のロゴマークにもなっている。東京で暮らした博士にとっては故郷を思わせる懐かしい花だったそうだ。

展示館には植物の中に佇む牧野博士の写真があった。94年の生涯で収集した標本は約40万枚といわれ、新種や新品種など1,500種類以上の植物を命名したそうだ。

人の一生で、自然に親しむということほど有益なことはありません。人間はもともと自然の一員なのですから、自然にとけこんでこそ、はじめて生きているよろこびを感ずることができるのだと思います。

牧野植物園は博士逝去の翌年に開園したという。

 

次回に続く。