ずっとヴィーガン暮らし

菜食と薬草のおうち歳時記

重陽の節句だけは旧暦じゃないと無理がある

9月9日は重陽の節句だ。中国では奇数を「陽のエネルギーを持つ数」として神聖視していて、奇数の中でも一番大きな「9」がふたつ重なる9月9日を大変めでたい「重陽」として祝っていた。別名「菊の節句」で、仙界に咲くという菊の花を飾ったり、菊料理や菊酒で不老長寿を願う日だ。

 

日本には平安時代初期に伝わり、菊の露で永遠の若さを保つ「菊の被せ綿」などが貴族の女性たちの間で流行したという。江戸時代には人日(正月7日)と並んで、武家社会では最も公的な性質をもつ節句だったそうだ。

 

だけど、本来旧暦で行われてきた風習だから、新暦ではどうにも無理がある。菊が出回っていないのだ。私も暦暮らしを大切にしたいと思い、わざわざデパ地下などで探し回ってみたけれど、やはりなかった。ちなみに今年の旧暦9月9日は、新暦の10月29日に当たるという。まだまだじゃないか。

 

1月7日の人日の節句、3月3日の上巳の節句、5月5日の端午の節句、7月7日の七夕の節句は、みなすっかり新暦に馴染んでいて、七草粥を食べたり、お雛様を飾ったり、柏餅を食べたり、短冊に願い事を書いたりするのに、9月9日の重陽の節句だけがすたれてしまったようだ。

 

なぜだろう。最大の理由はやはり菊だろう。今では品種改良で1年中楽しめる菊だが、本来は晩秋に咲く花だ。食用菊の収穫は10月中旬以降だという。季節の恵みを感じてこその伝統行事だから、ネットで取り寄せてまで無理に新暦で祝う気にもならない。

 

でも、何もしないのもちょっと淋しい。そこでお茶用に常備している乾燥菊で、お粥を作ってみることにした。菊の効用はなんといっても「目」の健康維持だ。疲れ目には菊花茶を浸した綿を目に載せたり、菊を中に入れて作るアイピローも有名だ。

 

今回は菊とクコの実を使った「明目粥(めいもくがゆ)」という薬膳粥を作る。用意したのは「金糸皇菊」という大きい菊で、清々しい香りと上品な甘味が特徴だ。ビタミンやミネラルが豊富で、清熱解毒(体の熱を取り除く)、清肝明目(肝臓を清め、目を良くする)、などの効果があるという。

一人用の小さな土鍋に米・水・菊花を入れて、お粥を炊く。仕上げにクコの実を加えたら5分蒸らして、塩で味を整える。

クコの実の酸味と菊花の上品な甘味で、とても美味しかった。フルーティないい香りがして、いつも食べている小豆粥とはまた違った味わいだ。

 

今回はこのお粥ひとつで終わろうと思っていたら、期せずして近所のスーパーでなんと菊を発見!しかも1パックだけ、ちょこんと置いてあって。デパ地下にわざわざ探しに行った時は見つからなかったのに、こんな近所にあるなんて、ご褒美をもらった気分。

せっかくなので、この生の菊花を使ってもう一品。私がいつも使っている薬膳マルチポットBUYDEEMの薬膳監修をされている、タナカトウコさんの公式レシピを参考にしてみた。

 

「明目の薬膳」ということで紹介されていた「菊花と黒米の薬膳粥」を作ってみることにした。レシピでは干し貝柱を使うのだけど、ここでは省いて白米・黒米・塩・菊花だけのヴィーガン仕様に。

 

薬膳マルチポット本体に1000mlの水を入れ、インナーポットに白米・黒米・水を入れてセットする。30分のボタンを押したら、あとは待つだけだ。

このポットは薬膳茶はもちろんのこと、小豆を煮たり、スープを煮たり、お粥を作ったりと、ボタンひとつでやってくれるので、日々大活躍だ。

 

アラームが鳴ったら全体をかき混ぜて、塩で味を整え、菊花を加えて予熱で火を通す。

見た目が地味な黒米のお粥と、黄色が鮮やかな菊花の組み合わせが新鮮だ。お粥なのに黒米のプチプチ感がアクセントになっていて、とても美味しかった。明目粥を2種も食べたので、目の疲れが一気にどこかへ飛んで行きそうだ。

 

日本がグレゴリオ暦を導入したのは1872年だというから、かれこれもう150年になる。それでも農村ではなかなか新暦が定着せず、一般に広く普及したのは昭和30年代以降だという。中国や韓国では日本の2月頃に正月を祝っているし、世界中でグレゴリオ暦を使っているわけでもないのだろう。

 

私はと言えば、季節に沿った「和ごよみ」をできるだけ暮らしに取り入れたいと思っている。でも新暦とのズレをいちいち調べないといけないので(毎年変わるので)なかなか慣れない。

 

2025年の重陽の節句、旧暦9月9日は新暦10月29日だという。そのころは秋の花の代表である菊も咲き誇っているだろうし、食用菊も市場に出回っているだろうから、心置きなくお祝いできそうだ。だけど桃の節句も端午の節句も新暦で祝うのに、重陽の節句だけ旧暦というのも、、。

 

結局新暦の9月9日をスルーはできないので、乾燥菊やちょこっと菊で現代風に祝い、秋も半ばになった頃に、菊料理や菊酒を存分に味わいながら、平安時代の「菊の被せ綿」に思いを馳せたり、仙界に咲くという菊に不老長寿を祈ったりすればいいのか。それじゃあ重陽の節句を2回やるっていうこと?

 

新暦の9月9日と菊の旬とのタイムラグが、なんとも悩ましい。

 

 

 

 

retoriro.hateblo.jp

 

retoriro.hateblo.jp

 

retoriro.hateblo.jp