西洋医学の薬は白い。薬という言葉から白い錠剤や粉薬をイメージする人も多いのではないだろうか。それに対して、ハーブやアロマなどを使った自然療法を象徴して緑の薬箱と呼ぶことがある。植物の生き生きとした力が感じられる素敵な言葉だ。
私も自分なりの緑の薬箱を作り、自然療法の学びが深まるにつれて、中身をどんどん更新中だ。
そんな中、タイトルもずばり「緑の薬箱」という自然療法の本が発売された。著者はドイツ在住の自然療法家である、森ウェンツェル明華氏だ。

私は2019年から2021年まで、明華先生が主宰する「ヒルデガルトファミリエ」で自然療法を学んだ。主にドイツからのズーム講座だったが、世界各国から受講生が集い、画面越しに交流できたのは貴重な経験になった。コロナ禍だったこともあり、ワクチンに対する様々な意見交換をしたり、自然療法での対処法なども学んだ。
講座は多岐に渡り、「緑の薬箱」「ヒルデガルトの宝石療法」「ホメオパシー」「生命組織塩」「4Seasons Lesson」を受講した。毎回ドイツから届く教材にワクワクしたものだ。現在は「薬草魔女と12ヶ月の森の精」など、当時より講座も増えて、内容もバージョンアップしているようだ。

ドイツは自然療法が盛んだそうだ。それはやはり中世最大の賢女、薬草学の母と呼ばれる聖ヒルデガルトがいたからだろう。この本では聖ヒルデガルトの叡智からゲーテ、シュタイナーまで、幅広く自然療法の考え方を紹介している。
また実践編では、不調に対する様々な自然療法のアプローチ(ハーブ・アロマ・ホメオパシー・生命組織塩・クナイプ療法・マクロビオティック・おばあちゃんの知恵袋的なものまで)が示され、読者自身が選択できるように具体的な方法が紹介されている。
例えば、風邪ひとつ取っても、ひきはじめ・中期・後期によって、体の中で起こっていることは違う。ひきはじめでは、免疫細胞が喉などの「入り口」で防御しようと働いていて、中期では熱や症状を出し切るたたかいをしている。後期では老廃物の排出と浄化、いわゆる体のお掃除をしている状態で、風邪といっても時期によってケアも変わってくることを丁寧に説明している。
風邪ケアの実践としては、ジャガイモ湿布・タマネギ靴下・エキナセアティー・カモミールのスチームバス・ティーツリーオイル・甘草のお茶・梅醤番茶・スミレシロップ等、他にもたくさんのレシピが紹介されている。またホメオパシーや生命組織塩の何を摂ればいいのか教えてくれる。
自然療法の本はたくさん持っているが、ここまで具体的なケアの方法を網羅した本を私は知らない。今までは頭痛などの症状が出ると、「ハーブでは?」「アロマでは?」「ホメオパシーでは?」とそれぞれ別々の本を開いていたけど、この本1冊に集約されているのでとても便利だ。サブタイトルに「ドイツ家庭の自然療法バイブル」とあるが、まさにバイブル的な存在になること間違いなしだ。
他にも私にとって印象的な記述が2点あった。ひとつ目は精油についての話で、目から鱗の指摘だった。
ただ、意識しておきたいことは、精油を使う状況というのは「アンナチュラル・不自然」な状態であるということです。
精油は植物の成分が凝縮したもの。なかには何万本の花から数滴しか取れない精油もある。「自然界で何万もの花が一斉に咲いている状態などあり得ない」ので、精油を使うということはそういうことだと意識する必要がある。
また、アロマテラピーの広がりに伴って、精油の使いすぎによる植物の乱獲が進み、絶滅危惧種に指定された植物もたくさんあるという。私も大いに反省し、ディフューザーなどは控えめに、精油は必要に迫られた時だけ頼ることにしよう。この1滴の後ろに、どれだけたくさんの花が咲いていたのかを忘れずに。
もうひとつは、中医学に関する話だ。ハーバルセラピストの試験では五行色体表を参考に、臓器と感情の関係を丸暗記しようとしたが、なかなか覚えられなかった。「肝臓・怒り」「心臓・喜び」「脾臓・思い(憂い)」「肺・悲しみ」「腎臓・恐怖」
やりきれない時に「はぁ」とため息が出たり、泣くと「ひっくひっく」としゃくりあげたりするので、肺(呼吸)と悲しみの関係はなんとなくわかったような気がしていたが、この本にはもっと根源的なことが書かれていて衝撃を受けた。
わたしたちは海から生まれました。そして生命の進化の過程で海から陸に上がる時に、肺呼吸へと変化しました。母なる海からの別離です。その悲しみが肺や皮膚に症状として現れる。塩辛い涙が悲しい時に出るのは、わたしたちが海にいた名残りとも考えられるのです。
なるほどなぁ、だから肺の病気や精神的な問題での療養に、海辺がよいと言われるのかと納得した。
初めて明華先生のワークショップに参加したのは、2019年に東京人形町で開催された「緑の薬箱」の1日講座だった。日本全国から集まった方々とレッスンを共にし、ヴィーガンランチに舌鼓を打った。一期一会だと思っていたら、のちにドイツからのズーム講座で知ったお顔がチラホラ。とてもうれしかった。
その時にテキストと一緒に購入したのが、こちらの布製の緑の薬箱だ。丸い地球、鳥、魚、蝶、花、木、私たちが住む世界の調和を表現していて、真ん中には聖ヒルデガルトのVIRIDITAS(緑の力)の文字が刺繍されている。なんて素敵なんだ!

元々ホメオパシーのレメディやラベンダーオイル、フラワーエッセンス、ヒルデガルトのお茶などが入っているが、自分でナリンやイムネオールなど、どんどん加えて安心のもとを作っている。
思えば、このブログを始めたのは2020年の1月だった。コロナ禍を無事に乗り切れたのも、ちょうどこの時期に自然療法のレッスンに一生懸命取り組んで、それをブログにせっせと書いていたおかげだとつくづく思う。先生の新しい本が出たので、心新たに薬草魔女修行に励もう。
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