ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

六日の菖蒲、十日の菊

昨日は九月九日、重陽の節句でした。

 

中国では奇数を「陽数」と言って縁起の良い数字としてきました。中でも一番大きい陽数である九が重なる九月九日は「重陽」と呼ばれ、大変おめでたい日とされ、菊の花を浸した菊花酒で不老長寿を祝いました。これが奈良時代に日本に伝わり、平安時代には正式な宮中行事になったそうです。

 

三月三日の桃の節句や五月五日の端午の節句と比べて、重陽の節句は今ひとつ馴染みが薄い気がします。雛あられやちまき、柏餅など行事定番の食べ物がはっきりしないし、菊の花もどちらかというと仏事の花のイメージでしょうか。9月は敬老の日や秋分の日もありますからね。

 

重陽の節句を祝おうと食用菊を買いにスーパーへ行ったら、あら、どこにも置いてない。去年はあったような気がするけど。ちょっと焦って他のスーパーへ行ったら、小さい食用菊のパックが一つだけありました。こんなに少しじゃ酢の物ぐらいしか作れないかな・・。都会の生活とはこんなものでしょうか。

 

平安時代には「菊の被綿(きせわた)」といって、菊の花に綿をかぶせ、翌朝に夜露と花の香りがしみ込んだ綿で顔や体を拭いたそうな。なんと優雅な世界~でも宮中の高貴な方たちだけでしょうけどね。

 

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長月のブッダボウル

ほんのちょこっとの食用菊で気分だけ重陽の節句を祝いました。ご飯とコールスローに混ぜただけなので、菊料理とは言えませんが💦

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お茶はキク科のハーブのブレンドで。ジャーマンカモミール、エキナセア、カレンデュラ。

 

植物療法の先生の話では「キク科というのは、あちらの世界との境界線を教えてくれるお花」だそうです。だから仏事で使われるんですね。そして植物療法的にはキク科は癒しのハーブと言われ「傷ついた心・体に太陽を運んでくれると考えられている」そうです。太陽が似合うひまわりもやっぱりキク科でした。納得!
 

九月九日の夜にアップする予定が、もたもたしてたら間に合いませんでした😢

 

えーい、しょうがないと、急遽タイトルを変え、出遅れたのをことわざでカムフラージュしてみました。本当は何事もタイミングが大事だとわかってはいるのですが、完璧にはできません。

 

ところが、ふと疑問がわいてしまったんですよ。もともとこういう節句は本来旧暦ですよね。重陽の節句も旧暦の九月九日に祝うものではないのかと・・。でも他の節句は新暦で定着しているし。

 

二十四節気七十二候では、寒露の三候は

 

初候・・鴻雁来(こうがんきたる)

次候・・菊花開(きくのはなひらく)

末候・・蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)

 

ああ、やっぱり。菊の季節は本来旧暦で考えないといけなかったんですね。菊花開(きくのはなひらく)は10月13日~17日とある。菊の花の旬はこの頃なのか。

 

仏花として一年中菊の花を見るので、いつが旬なのかわからなくなっていました。季節を表す言葉には自然の営みが反映している。当たり前のことなのに忘れていました。

 

そう考えると、一日遅れの「六日の菖蒲、十日の菊」どころじゃない。一ヶ月も勇み足っていうことになりますね。

 

でも今朝の新聞を見ると重陽の節句を祝った記事も出ている。重陽の節句は「後の雛」と言われ、お雛様をこの日に虫干ししたりするそうです。また昨日の新聞には菊料理のコラムもあった。

 

ということは、菊の本来の季節ではないけれど、他の節句と同様に新暦で行うのが定着しているということでしょうか。地域の伝統行事が残っているところでは、菊祭りとして旧暦で祝うところもあるのでしょうけど、そうすると九が重なるおめでたい九月九日という意味合いが薄れてしまう。

 

新暦の中で暮らしながら、季節を感じ、自然の恵みに感謝する旧暦の習慣を大切にするのは意外と難しいと感じました。