懐石料理の最後に出て来る「湯斗(ゆとう)」は玄米茶のルーツとも言われているそうです。玄米とお湯だけというシンプルさなのに、なんとも香ばしく、あたたかく、ほっとする一品です。
懐石料理の解説によると、丁寧に炒った少量の玄米に熱湯を注いで作る、または釜の底に残った焦げ飯を、さらに弱火できつね色に焦がし、熱湯を注いで作るそうです。
家庭で玄米をじっくり煎ったり、お釜でご飯を炊いて焦げ飯を作ったりするのはちょっと手間がかかります。炊飯器に「おこげモード」があるけど、やっぱりお釜のおこげが雰囲気出ますよねぇ。
マクロビの本家オーサワには、「炒り玄米」という商品があるんですよ。この炒り玄米は私の大好物。いつも常備しておやつにポリポリ食べたり、サラダのトッピングとしてかけたりしています。
ポリポリつまんでいると、美味しくていつの間にか無くなってしまう炒り玄米ですが、今回は熱湯を注いで湯斗を楽しんでみることにしました。
熱湯をかけて、しばらくすると柔らかくふやけてきます。うーん、香ばしいいい香りです。
美味しいです!今まで炒り玄米をこんなふうに食べたことはありませんでした。あったまるし、お腹にも優しい。何よりお手軽で栄養もたっぷり。
もちろん、少量で玄米茶として味わってもいい。
私は雑穀のなかでははと麦が大好きで、「炒りはと麦」も炒り玄米同様に常備しています。グラノーラのように牛乳や豆乳をかけてもよいそうですが、私はもっぱらポリポリ派です。
炒りはと麦でも湯斗を楽しんでみることにしました。でも、玄米の後なので少なめ少なめで、湯呑に入れて。
粒が大きい分、少量でも食べ応えあり。こちらもとても美味しかったです。炒ったものやお焦げって何でこんなに香ばしくて美味しいんでしょうね。
お湯を注ぐだけのお手軽さですから、玄米湯、はと麦湯、おこげ湯でいいのですが、「湯斗」と呼ぶと、なぜか上品でゆっくりと味わいたくなるから言葉の力って不思議ですね。
先日韓国料理のお店に行く機会があり、豆腐チゲを頼んだらチゲと一緒に1人用の小さな釜でご飯が出て来ました。食べ終わる頃には釜の底に焦げたご飯がくっついていて。
それを見計らったように、ポットが運ばれて来て「残ったご飯にかけてお召し上がりください」と。お湯(コーン茶かな?)を入れたら、おこげご飯がじわーっとふやけてきて、とても美味しかったです。おこげ湯はヌルンジ(누룽지)と言うそうですね。
前に韓国食材スーパーに行った話を書きましたが、年末にまた行ってみたんです。そしたらなんと「即席ヌルンジ」なるものを見つけたんですよ。
「お母さんの優しい愛情を込めたヌルンジ」ということで、買ってみました。
開けてみると、おこげご飯とスプーンが出てきました。
開け口が二重になっているので、どうやら外側のパッケージに中身を直接入れて、そこに熱湯を注ぎ、このスプーンで食べるようです。内ジッパーを閉めて4分待ったらできあがり。
家なので器に移してみました。炒り玄米、炒りはとむぎを食べた後だから、さすがに全量は、、試しに半量だけ。おこげのいい色です。
熱湯を注ぎます。蓋をしたら4分待って。
うわぁ、すごく美味しかったです!これインスタント?即席ヌルンジ、私には大ヒットです。あたたかくて、優しくて、香ばしい。それにどこか懐かしい味なんですよね。
器も要らず、スプーンも付いているので、韓国では寒い日にコンビニにちょっと立ち寄って、小腹を満たすような感覚なのでしょうか。
昔はヌルンジは身分の低い人たちの食べ物だったと聞きます。窯に残った少しのおこげをお湯でふやかして嵩をふやし、みんなで分け合って食べる生活の知恵から生まれた。
懐石料理の湯斗も、家で食べるおこげ湯も、ヌルンジも、共通するのは香ばしさとあたたかさ。そしてなぜか気持ちも緩む懐かしさがあります。この冬はお釜でご飯を炊いてみようかな、お焦げがうまくできるといいな。
☆お知らせ
ハーブの勉強とヒルデガルトの課題がたまってしまったので、ブログをしばらくお休みします。不定期でアップすることがあるかもしれません。これからもどうぞよろしくお願い致します。