本との出合いはいつも偶然。購入の決め手は直感に限る。
今回出合ったのは、こちらの本だ。
「私という植物を育てることに決めた」
植物に水をあげているのに、その植物から水をもらって気持ちよさそうにしている人のイラスト。そしてよく見ると、鉢にはMYSELFという言葉が。
どうやら自分自身を植物に見立て、自ら水をあげ、陽に当て、じっくり見守りながら自分を大切に育てていこうというお話のようだ。表紙のタイトルとイラストに惹かれてオンラインで購入した。
著者は「+1㎝」シリーズが世界12か国に翻訳され、ミリオンセラーになっているキム・ウンジュ氏。イラストは性別・人種・年齢不詳にもかかわらず、80万人のフォロワーがいるウォーリー・ラインズ氏。(本に記載されている紹介文より引用)
目次を見ると、まさにガーデニングのよう。
<目次>
・種まき
・適当な水やり
・枯葉はちぎり取る
・蝶や蜂、星との遭遇
・ほこりを拭き取る
・ぴったりな季節を待つ
・開花!
キーワードは「セルフガーデニング」で、ところどころに自分自身を発見し、育てていくためのワーク「セルフガーデニングプロジェクト」が盛り込まれている。20のワークをすることで、隠れていた自分が見えてくるかも。
「種まき」では、セルフガーデニングを始めるに当たって大事なことが書いてあった。
自分への愛と
自分勝手を一緒にしないで
確かに、自分ごとを優先しようとすると「自分勝手な人」と周りから思われそうで、ついつい後回しにしがちだけど、それは違うよと言っている。
ベストを尽くすことと
頑張りすぎて自分を消耗させることは区別しよう
人間観察が細やかで、示唆に富んだ言葉がギュッと詰まっている。どこを読んでも「あるある」「わかるわかる」と共感しっぱなし。また癒し系のイラストがすばらしく、文との最高のコラボを生み出している。
自分を低くして
あなたより弱い人を
肩車してあげることがあっても
自分を低くして
あなたより強い人に
踏みにじらせたりしてはならない
誰かがそのときどきで下す評価に耳を傾けないこと
バグだらけの結論に自分を結び付けないこと
人の視線に自分を定義づけさせないこと
誰かのため息に倒れてしまわないこと
言葉の力がすごいなと感じた。わかりやすい言葉を選んでいるのに心に響く。さすがコピーライター出身の方だ。
「ヒーリングの次はキリングの番」
「悩みの相対性理論」
「存分に無愛想でいよう」
「布団の中の毒舌」
「怒りはリボ払いで」
SNSに関する文には「誰かを追いかける(Following)のではなく、自分自身が成長(Growing)できますように」とあった。
深まった夜、今日を振り返る代わりに
誰かの一日を見物することで自分の一日を終える
感情豊かでカラフルだった日常が、コメントをつけたり、「いいね」を押すことで単純化してしまったと言う。
もうこれくらいで、うつむいたままSNSの画面をスクロールするのはやめて空をたっぷり見上げよう
実はこの本、最初に出合ったのは韓国語のオリジナルの方だった。今年の始めにタイトルとイラストに惹かれて、どのくらい難しいのかもわからないままオンラインで購入した。1年ぐらいかけて読めればいいなと、辞書を引き引き読んでいたら、なんと日本語の翻訳版が出版されてしまったのだ。
日本語版を買わないという選択肢もあったはずなのに、即購入。それからは辞書も引かず、解答本を覗き見るように2冊を読み比べ、そのうち日本語版だけを先に読むようになって、、。
ああ、自分を甘やかしすぎてしまった。水のやりすぎで腐ってしまうかも。ガーデニング失敗か、、。そうだ。「ヒーリングの次はキリングの番」だった。「自分にだけ特に甘くなる物差し」や「言い訳」をキリング!
ヒーリングがうまくできれば温かい人になり
キリングがうまくできれば新しい人に生まれ変わる
自分を植物に見立てて大切に育てていくセルフガーデニングという考え方。「自分を大切にしよう」と漠然と言われるのとは大違い。プロジェクトだからアイディアとヒントが満載で面白かった。こんなに自分を大切にしてもいいんだ、またそれが必要とされる時代なんだなと感じた。