ずっとヴィーガン暮らし

菜食と薬草のおうち歳時記

芍薬の花びらでティータイム

皆さんは「芍薬」というお花にどんなイメージをお持ちだろうか。私は芍薬と聞くと、すぐにあのフレーズが思い浮かぶ。

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」

昔から小説やドラマなどで、美しい女性を形容する時の決まり文句として、繰り返し使われてきたことわざだ。だから芍薬と聞けば、大輪の花を咲かせ、凛として立っている美しい姿が目に浮かぶ。まさに観賞するためのお花。

pixabayより

ところが、その芍薬の花びらがお茶やシロップになると知り、驚いた。長年ハーブティーや花茶を愛飲してきたけど、芍薬のお茶なんて聞いたこともなかったのだ。

 

先日お伊勢参りに出かけた際、内宮のすぐ隣の「おはらい町」をぶらぶらと歩いた。数あるお店のなかで出会ったのが「伊勢くすり本舗」だ。私好みの伝統的な薬草のお店を見つけた~と興奮してしまった。

 

お店の説明文によると「伊勢くすり本舗は、1570年創業の加藤延壽軒と号した製薬所を祖とし、文化文政(江戸時代後期)には二条関白家の製薬所となりました。」だそうだ。なんと歴史のあるお店なのだろう。そこで売っていた「芍薬花茶」「芍薬コーディアル」に、もう目が釘付け。芍薬のお花って飲めるの?

 

お土産に買って来たのがこちら。芍薬の入った薬湯、石鹸、お茶、コーディアルと飴。

左の「萬金飴」は3種の和漢植物(阿仙薬、甘草、桂皮)が入った黒糖ベースの飴で、とっても美味しく、旅の道中に何個も食べてしまった。

伊勢くすり本舗 – 伊勢の伝統薬「萬金丹」・萬金飴・萬金コーラ・農薬不使用の芍薬商品

 

家に帰ってさっそく「芍薬花茶」を入れてみた。無農薬で育てた芍薬の花びらに、伊勢茶、ラベンダー、レモングラス、ハイビスカス、ローズペタルをブレンドしたハーブティーだ。芍薬の花びらが大きくて、優雅感が半端ない。

お味はレモングラスとハイビスカスの酸味があり、またローズペタルの香りや甘さが感じられる優しいお茶だった。芍薬のお花がたくさん入っていたけど、バラと似ているのか、正直芍薬のお花の特徴はわからなかった。ブレンドじゃなくて、芍薬のお花そのものはどんな味がするのだろう。

 

調べてみたら、芍薬のお花のシングルティーも売っているようだ。芍薬は「5月のバラ」と呼ばれるように、バラのような甘く優雅な香りが特徴だが、味の方は控えめなのでブレンドがおススメだそうだ。効能としては、エネルギー(気)と血液(血)の循環を促進し、月経不順の緩和、ストレス・イライラの解消などがあげられている。

 

お次は「芍薬コーディアル」だ。中身は、無農薬の芍薬花びら・シナモン・アップルピース・ヒハツ・カルダモン・チョウジ・クロープ・氷砂糖。うわぁ、シナモンスティックが1本入ってる。

ここに熱湯を注ぐみたい。その後、6時間~12時間放置して濾したら出来上がり。蓋を開けたら、すごくいい香りがした。

 

熱湯を注いだところ。芍薬の花びらやリンゴ、カルダモンがどんどん上に上がってきている。こういう過程を眺めているだけで癒されるなぁ。

本当は12時間放置して最大限抽出するつもりだったけど、早く飲みたくて8時間で濾してしまった。できあがったコーディアルはお湯、炭酸、豆乳などで割って飲んだり、紅茶の砂糖代わり、お菓子作りの風味づけに使えるそうだ。

 

まずは炭酸で割ってみた。

スパイスが効いていて、とても美味しい。だけど、やっぱり芍薬の花の味は謎のままだ。あの美しい大輪の花のお茶はどんな味なのか。控えめだというけれど、一度味わってみたいものだ。ちなみに芍薬の花言葉は「恥じらい」だ。

 

実はうちの庭にも芍薬はある。だけど、園芸店で買って植えた観賞用のお花を、果たして飲用に使っていいものなのか、その辺が難しくて悩ましい。そう言えば、庭の木蓮や金木犀を初めてお茶にして飲んだ時も、かなり恐る恐るだった。当面は無難に庭の芍薬を眺めながら、伊勢くすり本舗の芍薬の花茶でティータイムとしようかな。

 

夜は「神楽の薬湯」のお風呂に入ってみた。こちらは芍薬の根を始め、当帰、黄柏、紅花など10種類の薬草が使われている。冷え性、腰痛、肩こりなど、たくさんの効能があるそうだ。香りがまさに薬草風呂という感じで、薬草の入った袋をもみながら、ありがたくゆっくりと湯船に浸かった。芍薬の石鹸も使って、特別なお風呂に。

 

今まで全然知らなかったけど、芍薬の根には薬効があり、大昔から鎮痛、血行改善、抗炎症、婦人薬などに使われていたそうだ。家にある葛根湯の成分を見てみたら、やっぱり「シャクヤク」と書いてあった。養命酒にも入っていた。根が薬草だったなんて、あの美しい芍薬の花の秘密を知ったような気分。考えてみたら、名前にも「薬」の字が入っているじゃないか。

 

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」

実はこの言葉も元々は漢方に由来するとか。イライラして「気が立っている」時は「芍薬」、血液の滞り(座ってばかり)を改善するには「牡丹皮(ぼたんぴ)」、心身症や精神衰弱(なよなよと不安げに歩く)には「百合(びゃくごう)」というように、生薬の用い方を例えたものだという。なるほど!

 

まだまだ知らないことがいっぱいの薬草の世界。あんなに優雅に咲いている芍薬の花の根が、イライラに効くとは。もっとも美しいお花を眺めているだけで、イライラの方は自然と鎮まっていきそうな気もするけど。

 

 

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