玄米菜食、マクロビオティック、精進料理、ヴィーガン、最近ではプラントベースという言葉もよく聞くようになりました。どんな違いがあるのかなと思っていたら、面白い記事に出合いました。
東京青山のサステナブルグリル「The Burn」の米澤文雄シェフが精進料理を習いに行ったというのです。米澤シェフと言えば、ニューヨークの三ツ星レストランで日本人初のスーシェフになり、数々の賞も取っている一流のシェフ。
最近はヴィーガンレシピ本を出したり、「時々ヴィーガン」のためのミールキットも監修しています。
私もそのレシピ本を書店で見ましたが、それはそれは「美しい!美味しそう!これぞ新しいヴィーガン料理!」とヴィーガン料理の可能性を存分に見せてくれる本です。
こんなに手の込んだヴィーガン料理は自分ではとても作れないと思い、買いませんでしたが、図書館で借りて参考にしたいところはしっかりコピーしてあります。
料理を習いに行くって普通の人がすることだと思っていたので、「プロの料理人が料理を習いに行くってどういうことだろう」と興味を持ちました。
しかも、ヴィーガンの本も出しているシェフが同じジャンルとも言えるような、精進料理をわざわざ習うとは。やはりそこに違いがあるということでしょう。
習いに行った先は、東京浅草にある緑泉寺の青江覚峰住職のところ。 住職は敷居の高いイメージの精進料理を「お寺ごはん」と称し、多くの人に取り入れてもらいたいと発信されている方です。
ちょうど私も最近よく聞く「お寺ごはん」に興味が出てきたところで、本を買って「お寺ごはん」の心得を学んでいたところです。
米澤シェフによると、レストランの料理人は見た目の美しさを追求するので、「食材のおいしい部分を探して、食材は削って削って、切れ端は賄いで」となるそうです。
精進料理を習った米澤シェフが「一番感銘を受けた」と語っているのが、精進料理の「食材を無駄にしない」「命を使い切る」という点。
住職によると、精進料理が伝わった鎌倉時代は日照りや干ばつ、紛争も多く、民は飢えていて、精進料理の教えは「もったいない文化」として一般に広がったとのこと。
さらに食材をむやみに捨てず、素材の長所を最大限引き出す精進料理の味付けのルールは「六味」
「甘い、苦い、酸っぱい、しょっぱい、辛い」の五味に加えて「淡味」をプラスしたもので、素材本来の味を生かすための薄味を意識したものだそうです。
対談の終わりには、「1000年前に日本へもちこまれた教えがコロナをきっかけにリンクしてきた」と、厳しい時代に精進料理の教えや日本人のもったいない文化など、古い教えを見直すことも大切だと語られています。
米澤シェフは精進料理を「究極のサステナブル」と言い、「今こそ実践すべき教えが詰まっている」と述べています。
そして余談ですが、こちらの記事も面白かったです。
「グリーンカルチャー株式会社」代表の金田郷史さんが、自社の商品を「ヴィーガン〇〇」から「プラントベース〇〇」と変えただけで、売り上げが前年比120%伸びたという話。
「植物性食品はサステナブル」という認識が高く、ヴィーガンよりプラントベースと言った方が「植物性を多く摂り入れよう」というプラスの効果を生み出すようです。ことばって不思議ですね。
米澤シェフの言葉「精進料理は究極のサステナブル」
なるほど、と思いました。厳しい時代に昔の人の知恵が蘇るというのは、最近よく感じていることです。