ヒポクラテスが医学の父なら、薬草学の母と呼ばれるのが中世ドイツの修道院長である聖ヒルデガルト。彼女が最高の穀物と推奨したのが「スペルト小麦」(古代小麦)です。
今までスペルト小麦のサラダや菓子類を作ったりしましたが、なんとスペルト小麦で作ったビールがあると聞いて興味津々~。アルコールは1滴も飲めないのに注文してしまいました。
埼玉県の飯能市にあるブルワリー&レストランCARVAAN
「圧倒的な自然に囲まれた渓谷の絶壁に建つレストラン」ということで、とっても素敵なところのようですよ。是非1度行ってみたいです。
こちらが注文したスペルト小麦のビール「スペルト・ヴァイツェン」1本330㎖で770円でした。
商品説明には「濃厚なバナナ香とスムースな飲み口が魅力のヴァイツェンはミュンヘンスタイルの小麦ビール。メソポタミアを源流とする古代穀物スペルト小麦を使用した深い香味が豊かな味わいを生み出しています」とあります。
このスペルト・ヴァイツェンはインターナショナル・ビアカップ2018<銅賞>・ジャパングレートビアアワーズ2019<銀賞>を受賞したそうです。
飲んだ感想は、まず一口飲んでみて確かにフルーティーな感じがしました。大学生の時初めてビールを飲んで以来「ビール=苦い」という認識でしたが、あんまり苦い感じでもない。そして奥深い味。これが「豊かな味わい」ってことなのかな。
100㎖ぐらいでもうアウト。残りは夫にパスしましたが「地ビールだな」と言っていました。意味不明~~味に個性があるということでしょうか、、。
メソポタミア文明の頃には既にビールの原型のようなものが作られていたというから、その歴史の古さには驚いてしまいます。
古代エジプトではピラミッド建造の労働の対価としてビールが配られ、疫病が流行った中世ヨーロッパではビールが最も安全な飲み物として重宝されたそうです。
昔は水が汚かったため、生水は飲めなかったんですね。修道院ではもっぱら薬草を入れたワインやビールを作り、ハーブティーなどは当時はなかったそうです。
ヒルデガルトも次のように書き残しています。
もし目が覚めた時に喉が渇いている場合、健康であるかどうかには関係なく、ワインまたはビールを飲むのはよいが、水は飲まないほうがよい。(「フィジカ」より)
なんと朝からアルコール? 私なんか顔がすぐ真っ赤になるので、とても無理。
ところで、ビール醸造にホップを入れることを思いついたのは中世の修道士たちだそうですが、ヒルデガルトのホップについての記述がそのヒントになったようです。
メランコリーを増やすが、その苦みは飲料を長持ちさせる。(「フィジカ」より)
新しく出たばかりの本「ビア・マーグス」(ビールの魔術師という意味)は、ビール醸造に魅せられた中世修道士の物語で、その中にヒルデガルトの話も出てくるそうです。他のビールが腐ってしまった中、ホップを加えたビールは腐っていなかったと。
私はまだ読んでないのですが、アマゾンの内容紹介に主人公の修道士が「薬草研究に情熱を注ぎ」とあるので読んでみるつもりです。
ビア・マーグス ビールに魅せられた修道士 [ ギュンター・テメス ]
ところで、ビールは「液体のパン」と言われますが、これは修道院で断食中に「パンはダメでもビールならいいだろう」とビールを飲んでいたことからだとか。
他にも、断食中は肉は禁止だけど、なんとしても食べたい。そこで修道士たちはひき肉のような肉の欠片をクッキーに練り込んで食べたとか。そんな涙ぐましいエピソードを聞くと、人間味溢れていてなんか笑ってしまいますね。
CARVAANさんには、スペルト小麦のビール以外にも美味しそうな商品がたくさんありましたよ。一定金額以上の購入で送料無料になるので、他にこんなものも買ってみました。
スペルト小麦を使った「ヴィーガンアップルバナナケーキ」の手作りキットです。スペルト小麦の他にも「椰子の花蜜糖」「ローマンの塩」「キャロブチップ」「ヘーゼルナッツ」など色々セットで入っています。こちらは作ったら、またご紹介しますね。
こちらはキャロブ(イナゴ豆)のシロップ。瓶も素敵なので後で使えそう。
スペルト小麦のビールも、いくら何でも1本だけではと、飲めもしないのに3本も購入してしまいました(笑)暑い夏の間にまだまだ楽しめそうです。
スペルト小麦を使った料理はこちらに書きました ↓