ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

お寺でいただくハレの精進料理

最近のお気に入りで、よく出かけるのが福岡県篠栗町。「森林セラピー基地」の認定を受けているだけあって、ヒーリングスポットやパワースポットも多い。

 

何と言っても、篠栗町は「日本三大新四国霊場」のひとつ、篠栗四国八十八ヶ所遍路で知られている。霊場の総本寺、第一番札所は南蔵院で、そこに横たわる釈迦涅槃像はブロンズ製では世界一の大きさだそうだ。

南蔵院涅槃像

今回訪れたのは、四十三番札所「明石寺」の境内にある大日屋旅館だ。大正時代から宿坊として、多くのお遍路さんを見守ってきたという。そこで本格的な精進料理がいただけると聞いて、楽しみにやってきた。

明石寺の福徳門

この門の他に、男性の金剛門、女性の胎蔵門があり、それぞれの門から男女の厄落としの石段を登って行くと本堂に至る。

金剛門

胎蔵門

石段を登ると、すぐ目に入るのが「厄除波切不動明王」だ。高さはなんと10m以上あるそうで、迫力が半端ない。新緑と青空に堂々たるお姿がよく映える。

お寺の境内に旅館があり、お寺カフェもあるので森林散策の後、ひと息つくにはもってこいだ。案内されたのは広々とした畳敷きの部屋。現代風に椅子席になっている。

もう何十年もずっと菜食の私だが、普段の食事は至って地味な素食なので、こうやって外で本格的な「精進料理」をいただく機会はめったにない。

 

「阿闍梨さまの料理番~もっと知りたい精進料理」の鳥居本幸代氏によると、精進料理にもハレとケがあるということなので、こうやって特別にいただく精進料理は「ハレ」として楽しもう。

 

御膳が整えられ、「どうぞごゆっくり」と蓋が開けられた。

まあ、なんと華やかな。煮物・焼き物・天ぷらに、色とりどりの野菜が散りばめられ食欲をそそる。これだけではなく、まだまだあるのです。

 

やっぱり出て来た胡麻豆腐。昆布の上に載っているのは、もしかしてアサリ?うーん、何故かな、、。

凝ったお吸い物。お豆腐がよく千切れないものだ。木の芽がいい香り~。

そして、ご飯と香の物。茶そばまで。

美味しくいただき、かなりお腹いっぱいになりました。デザートにぜんざいをと思っていたけど、とても無理。添えてあった小さな葛まんじゅうで充分だった。

 

蓮根を磨り下ろして作る蓮根バーグや、精進つくね、車麩の揚げ物などは手がかかるため、家でも「ハレ」の料理だ。ひとつひとつが丁寧に作られ、見た目も美しく、季節感もあり、とても美味しかった。

 

それでいて豪華ではなく、どこか素朴に感じるのは何故だろうかと考えた。

 

やっぱり食材だ。高級食材ではなく、よく見ると、じゃがいも、人参、蓮根、昆布、かぼちゃ、豆腐等々。いつも食べているものばかりじゃないか。だから、どこか優しく、懐かしく、安心していただけるんだなと、改めて精進料理の奥深さを感じた。

明石寺のこと│【公式サイト】お寺で過ごすやすらぎのひととき 明石寺・大日屋旅館

 

こちらは私がお手本にしている料理本。レシピだけでなく、文章が心に響く。

よく「精進料理の特色は」と聞かれる。

そのたびに「淡だと思う」そう答える。

淡は中道と同意語と思ってくだされば、

そして「淡は和」とも同義語である。

精進とは

「和をもって、一生懸命生きる」

そう思っていただいていい。

 

季節に沿って、今あるものを食べる。特別な味付けをせず、素材を活かす。そして一物全体、丸ごと使い切る。ついつい目新しいものに惹かれちゃうけど、やっぱりこれが揺るぎない基本。

 

そして、精進料理研究家の藤井まり氏によると、精進料理には植物性食材で動物性食材に似せて作る「もどき」や「見立て」と呼ぶレシピがあるけれど、これは心のゆとりがあるからこその遊び心だと言う。

 

遊び心かぁ、気づかなかった。肉料理のようなパンチがなくて物足りないという「菜食の不満」から生まれたのかなと思っていたけど、遊び心とはね。確かに心のゆとりがあってこそ、アイディアや工夫が生まれ、それを楽しめる。

 

ということで、さっきから目の前のじゃがいもで何が作れるかずっと考えているんだけど、遊び心がなかなか発動してくれない。「蒸かしてお塩」が一番おいしそうで。

 


阿闍梨さまの料理番: もっと知りたい精進料理


魂の食 SOUL FOOD―精進料理レシピ125

 

 

retoriro.hateblo.jp

 

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