ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

ロンドンの想い出、イレーヌのヴィーガンローフ

梅雨が明けないどんよりとした空。こんな空をながめていると、心に隙間ができるのでしょうか、少し感傷的な気分になります。

 

でも感傷に浸るより積極的に想い出に浸ろうと、若い頃にロンドンで出会ったフランス人の友、イレーヌがよく作ってくれたヴィーガンローフを作ってみました。

 

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材料はクルミ、松の実、玉ねぎ、椎茸、大蒜に、なぜか今人気急上昇中のオートミールも入れちゃおう。冷凍パンを摩り下ろしパン粉にして混ぜました。そしてひじき!日本好きのイレーヌはひじきも入れていたから💛 

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型に入れます。 ちょっと中身が少なかったかも・・

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焼き上がりました!いい香りがします。

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20代の頃、仕事を辞めて1年間ロンドンに語学留学しました。留学なんていうと華やかなイメージですが、実はいわゆる自分探し。日本が息苦しくて飛び出したものの、目的も曖昧でふらふらした貧乏ぐらしでした。

 

取り合えず最初の滞在は、若者が集まるゲストハウスで屋根裏の3人部屋。朝夕食込みでしたが、朝はトーストだけで勝手に自分で焼いて食べるスタイル。夕食は肉や魚の料理がきちんと出ました。

 

すでにヴィーガンだった私は、その夕食はほとんど食べられず、いつもじゃがいもなどの野菜の付け合わせばかり食べていました。玄米菜食からいきなりパンやポテトばかりの食事になったので、体調も悪くなり、こりゃいかんと2週間で引っ越しました。

  

その後、滞在先を転々と変えながら、やっと小さなキッチン付きの部屋に移ることができ、自炊が叶ったので食事の問題は解決しました。でも一人暮らしになったので、語学学校以外では話す人がいなくなり・・。

 

異文化適応のUカーブ仮説というのがあります。最初は見るもの全てが新鮮でわくわくしているハネムーン期。そこから自国との差を強く感じカルチャーショックを受ける不適応期。この時心理的にはかなり落ち込みます。その後、カルチャーショックを乗り越えていく適応期がやってきて、気持ちも明るくなり安定してくるというものです。

 

私も御多分に洩れず、Uカーブの底辺にいた時は完全にメンタルブレイクでした。

「なんで来ちゃったんだろう」
「こんな中途半端な宙ぶらりんな毎日で」
「このまま帰っても何もない」

SNSのない時代ですから、部屋で一人、何をしていたのかすら思い出せません。

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ピカデリーサーカス ここによく座っていました

そんな時、フランス人のカップルと知り合いました。ホテルで皿洗いのアルバイトをしながらミュージシャンを目指しているダンとイレーヌ。二人ともヴィーガンだったのですぐ意気投合し、仲良くなりました。

 

学校以外で初めてできた友達。ダンの空手の練習を見に行ったり、イレーヌが通うヨガ教室にビジターで参加したり。アパートと学校の往復だけだったどんよりした生活に光が差し始めました。

 

深夜までアルバイトをしていた2人。生活はかなりキツかったはずなのに、友人たちをよく招いて美味しいヴィーガン料理でもてなしてくれたなぁ。

 

イレーヌの料理はオーブンでじっくり焼き上げるものが多く、ベジグラタン豆腐のキッシュ、丸ごとかぼちゃに色々詰め込んだスタッフドパンプキンなど、見た目も華やかでおしゃれで、そして本当に美味しかった! (これがヴィーガン料理? 私の玄米菜食とは全然違う~(*_*))

 

誰かが作ってくれた料理を、みんなでわいわい言いながらくつろいでいただく。こんな経験は初めてでした。日本ではまだまだ菜食の人が少なかったので、食事の場ではいつも葛藤をかかえ無理していることが多かったからです。

 

特に忘れられないのがヴィーガンローフ。ナッツやきのこ、雑穀、ハーブがぎっちり入っていてもう絶品💛ミートローフを食べたことがなかった私にとって、初めて見る目から鱗の料理でした。

 

あの頃SNSがあったら、帰国しても連絡を取り合っていたのかな。残念ながら帰国後は疎遠になってしまいました。

 

想い出とは、実に不思議なものですね。記憶は薄れて行っても、想い出は色褪せない。もしかしたら都合よく脚色しちゃってるかもしれないけど、それも生きるための脳の為せる業でしょう。

 

イレーヌを想いながら作ったヴィーガンローフ。焼き上がるまで1時間、キッチンからどんよりした空をながめ、ちょっぴり感傷に浸りました。本当はどんなレシピだったのかなぁ・・。