寒い冬の庭にちっちゃなすみれの花を見つけて、すみれの魔法にかかった話を書きました。すみれには薬草としての長い歴史と、偉人たちを虜にした不思議な魅力があるようです。
薬草としての歴史はおいておいて、すみれの魅力はなんといってもその愛らしさと甘い香り、凛とした気品ではないでしょうか。
すみれはヴィクトリア女王の大のお気に入りで、ヴィクトリア時代にはすみれが大流行。キャンディ、砂糖漬け、キャンドルといろいろな用途で使われ、女性たちは儚いすみれを永遠にするために押し花を作っていたそうです。(「イギリスアンティーク手帖」より)
私がすみれの魅力にはまったのも薬草としての顔ではなく、やはりその愛らしさから。
ある日、フランス雑貨のお店「菫杢 Sumireno」さんに出合い、すみれの世界に魅了されてしまったのです。
ですから、家の中にもすみれがあるある。恥ずかしながら、ちょっとだけご紹介しますね。
けっこうあるでしょう(笑)こんなふうに雑貨から入ったすみれの世界ですが、今はすっかりその薬草としての魅力に取りつかれています。
すみれの薬草としての歴史を調べていく中で、久々に手に取ったモーリス・メッセゲ氏の本。こちらは薬草療法のバイブルのような本です。
やっぱりありました、すみれの話!ハーブの部分ばかり読んでいたので、すごく新鮮でした。
メッセゲ氏も、医学の父ヒポクラテスがすみれを様々な病の症状の改善に勧めていた話を書いています。薬草療法の長~い歴史は現代にまで続いているんですね。
その中で、特にすみれの鎮咳作用を取り上げています。そこで今回はすみれワインに続き、すみれを使った喉ケアシロップを作ることにしました。
花梨とすみれを用意します。このオーガニックのドライヴァイオレットもコロナの影響で手に入りにくくなりました。
消毒したガラス瓶に、てんさい糖・花梨・すみれを交互に入れていきます。すっごくいい香り~!
後で濾すので、種も一緒に入れます。種からとろっとした成分が出るそうですよ。喉の痛みに効きそうですね。
山盛り入れましたが、砂糖が溶けたら嵩が減ります。酵素を活かした発酵シロップなので、火にかけたりせずに発酵を待ちます。
2~3日でかなりシロップが溜まり始めました。すみれの色も鮮やかに変化。あとは泡がぶくぶくして発酵が進んだら、漉して完成です。1年ぐらいは平気でもちます。まずはこの冬の喉のケアに。
こちらは修道院で作り続けられているすみれのボディオイルとすみれのアロマオイル。すみれの精油はローズオットーと同様に、数滴で何万円もするので、このアロマオイルはエッセンシャルオイルではありませんが、とてもいい香りです。Violaとあるので正確にはパンジーの方ですね。
さて、これまですみれの愛らしさや薬草としての顔について語ってきましたが、ナポレオンやシェークスピアなど、すみれと関わる偉人たちの多さを見ると、すみれには何か人を惹きつける魔法の力があるようです。
「菫ほど 小さき人に 生まれたし」
(現代語訳 道端にひっそりと菫が咲いている。目立たずとも、たくましく咲く。この花のような人になりたいものです)
ご存知の方も多いかと思いますが、夏目漱石が30歳の頃に詠んだ句です。漱石が最も鬱々としていた時期だと言うので、どんな思いが込められているのか気になりました。
・目立たないけど懸命に咲くすみれに感動した
・面倒な人の世を離れひっそりと生きたい
・社会のしがらみにとらわれず、自分の力を尽くしたい
参考↓
【菫ほどな小さき人に生まれたし】俳句の季語や意味・解釈・表現技法・作者など徹底解説!!
私自身も冬の庭に咲くちっちゃなすみれの姿に感動したのですが、漱石のように道端のすみれに出合い、何かしらの思いを抱いた人も多いのかもしれませんね。
可憐な姿に似合わない強さを併せ持つ。自分は自分のままで、ここで生きるという凛とした気高いオーラ。愛らしいのに潔い、それがすみれの魅力でしょうか。
先が見えない今のご時世ですが、周りに惑わされず、いつも自分軸で、そしてこの場所で。ちっちゃなすみれから改めてメッセージをもらったようです。