ハーブに関する本を読んでいたら、「喉が渇く前に井戸を掘りなさい」という小タイトルがあって、その下に「『黄帝内経』-2500年前の中国古典医学書より」と出典が出ていたので、驚きました。
最近は熱中症に関して「喉の渇きを感じる前に、水分を補給してください」という話をよく聞くので、2500年も昔から同じようなことが言われてたのかなと思ったわけです。
内容は、現代はあまりにも多くの不要のものを体に取り入れているから、浄化・排出をしないと、口臭から消化不良まであらゆる症状が出る。職場のもめごとや失恋などネガティブな感情も同様で、体も心も浄化が必要という話です。そして浄化・排出を促すハーブティーの紹介が続きます。
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興味を持って「喉が渇く前に井戸を掘りなさい」を検索してみたら、インドのことわざとか、フィリピンのことわざとか出てきて、あれ?黄帝内経じゃないの?
フィリピンのことわざの方は「世界ことわざ大事典」が出典になっている。日本の「転ばぬ先の杖」や「備えあれば患いなし」と同じ意味という紹介文。前もって用心して備えをしておくことで失敗や心配ごとを防ぐことができると説明しています。
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地域の防災に関する記事で使われているものもありました。「『喉が渇く前に井戸を掘りなさい』は言い換えると『備えよ、常に』ということ。日頃から緊急時のために備えておくことが大切です。この言葉を忘れずに」と教訓のように使われていました。
体や病気に関することわざかと思ったら、そうでもないのかな?
インドのことわざ紹介の方は英語と日本語で
Dig your well before you're thirsty.
(喉が渇く前に井戸を掘りなさい)
意味は「目標が決まっていれば、予定が決まっているならば、それまでに準備をしなければならず、間にあうように工夫しなければならない」とある。
なんか日本語が変・・。
「前もって準備を始めないと間に合わない」という解釈のようで、類義語として「善は急げ」「1日の遅れは10日の遅れ」が挙げられていました。スピードに焦点がおかれているようですね。
インドのことわざ辞典・英語名言集(世界の偉人・諺・意味) – インド ことわざ辞典(名言・格言・意味難解)
他のサイトで「喉が渇く前に井戸を掘りなさい」の類義語として挙げられていたのが、
Fix the roof while the sun is shining.
(日が照っているうちに屋根を修理せよ)
こちらはジョン・F・ケネディの言葉で「今できることをしっかりやる」「時期を逃すな」という文脈で使われるようです。逆に「雨が降っている時に屋根を修理するのはナンセンス」という意味も含まれるらしいので、備えやスピード感ともちょっと違う感じがします。
ますます体や病気とは離れて行ってる気がするなぁ。
中国語の学習サイトで、日本語の「泥棒を捕らえて縄を綯う」に相当する中国語の成語の解答として「喉が渇く前に井戸を掘りなさい」が挙げられていました。えっ、やっぱりオリジナルは中国なの?
こちらは、「準備を怠り、事が起こってからあわてて用意をするたとえ」ということで、行き当たりばったりで慌てふためいている様子を強調。そうならないように備えをしっかりしなさい、ということかな。
さらに、神田昌典さんのビジネス啓発書では比喩的に違う使われ方をされているとのこと。
時代に一番必要とされる「変化対応力」を説く文脈で「喉が渇く前に、井戸を掘るのを止めろ」という表現が出てくるそうです。
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ことわざ、故事成句のようなものは、世界で似たようなものも多いし、どれが正しいという話でもないのでしょう。時代によって解釈や使われ方が変化することもあるし、別のことを表現するために敢えて取り上げたりする場合もあるから面白いですね。
巡り巡って、漢方のお話に辿り着きました。
漢方とは「未病を治すもの」で、現代のように病気になってから薬を飲むことは「喉が渇いてから井戸を掘るようなものである」とありました。ああ、やっと体と関係がある話になった。
中国では昔から病気がひどくなる前に治療することの大切さを説いているそうです。最初のハーブの本も、体の中に悪いものが溜まりすぎる前に、浄化を促すハーブティーを飲んで排出しなさいという意味だったのかな。妙に納得できた!
ハーブの勉強からずいぶん寄り道をしてしまいました。ちょっと休憩して水分補給、水分補給~。そこまで喉は渇いてないけど、熱中症になる前に。