ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

よもぎが香る春のフォカッチャ

よもぎほど不思議な植物はない。そこいら辺に自生しているただの草と思いきや、大昔から邪気を祓う植物として神事に使われたり、またお茶に、お灸に、よもぎ蒸しにと薬草としても大活躍。加えてよもぎ饅頭のおいしいことと言ったら。

 

そんなよもぎは私にとって未知の魅力を持つ野草だけれど、いまだに「よもぎ摘み」は経験したことがない。よもぎらしき草を見つけても今一つ確信が持てなくて、もっぱら直売所で買うばかりだ。

 

今年もちゃっかり買って来ました。これで120円。

この季節限定の野草なので、後でいろいろ使えるようにペーストにしておくことにした。さっとゆでたら水気をしぼって軽く刻み、フードプロセッサーにかける。冷凍しておけば、よもぎ粥やよもぎの蒸しパンがすぐに作れて便利だ。

今回はこのペーストを使って、米粉のフォカッチャを作ってみることにした。

 

米粉・イースト・コーンスターチ・塩などをボウルに入れて混ぜ、そこへ繊維が残るくらいのペーストにしたよもぎを加える。

捏ねてひと塊になったら、6つに切り分けて。

丸めたら天板に載せ、穴をあけてオリーブオイルを塗る。40℃で20分ぐらい発酵させる。

ぷっくりと膨らんできた。小麦粉のフォカッチャはたまに作るけど、米粉では初めてなのでちょっと心配。うまく焼けるかなぁ。

 

岩塩のハーブソルトをかけて、200℃で20分ぐらい焼いてみる。このハーブソルトにはレモンの果皮、タイム、マロウなどが入っているので色がきれいだ。

焼いている間に、愛読している本をまた取り出して読む。タイトルは「月とヨモギ」で、サブタイトルが「女性性に寄り添う薬草」となっている。「女性」ではなく、「女性性」だ。

「ゲーテ的自然観察法」をもとにヨモギを3年間観察し書かれた本だ。専門的な話も多く、私には正直難しすぎるところもあるが、「天と大地を繋ぐ植物」という観点が非常に興味深く、繰り返し読んでいる。ヒルデガルト、シュタイナーも登場する。

 

どうやら月とヨモギは関係があるらしい。古代の人はヨモギの中に月の持つ様々な力を感じ取っていたという。

ヨモギは学名をアルテミシアと言いますが、これは月の女神アルテミスに由来する名なのです

どうして月の女神に由来する名が付けられたのか、ヨモギの外観からは想像できないが、月の影響を受けると言う女性の月経や出産、産後の体にヨモギがいいことはよく知られている。「ヨモギ蒸し」が有名な韓国では、ヨモギは妊娠から産後まで母子を守ってくれる「女科の聖薬」に特化しているという。

 

この本を読んでいると、ヨモギという一見平凡な草が、これだけの研究に値する植物なのだと改めて気づかされる。

ヨモギの中に埋もれている宝を再び見出そうとするのが本書の大きな目的のひとつです

 

さて、よもぎのフォカッチャが焼けたようだ。ちょっと焼き過ぎたのか、色濃く仕上がったみたい。お味のほうは米粉なのでもっちもっちで美味しかった。よもぎの香りと岩塩が食欲をそそり、2個ペロリでした。(笑)

枕草子にもよもぎの話が登場する。清少納言が牛車で出かけた際に、牛車の車輪に踏まれたよもぎの香りが漂ってきて「をかし」と記している。

 

牛車に踏まれたということは、普通に道端に生えていたということだろう。どこにでもありながら、神事に使われるほどのパワーを持つ不思議な草。よもぎの魅力はそのギャップにあるのではないか。