ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

牛タンを呑み込んだ日

人間の味覚はどうしてこんなに個人差があるんだろう。

 

ある人にとっては毎日でも食べたい、長蛇の列に並んでも食べたいぐらい美味しい物が、ある人にとっては二度と口にしたくないほど苦手だったりする。

 

こんな多様性って人間だけなのか?だってコアラはユーカリの葉を食べ、パンダは笹や竹、リスはナッツと大体決まっているんじゃないかな。

 

なぜ人間だけがこんなに複雑なんだ?

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リスはナッツ、ですよねぇ

 

まだ若かったころの話。仕事関係で食事をごちそうになる機会があって、私ともう一人(同年代) が連れて行かれた先が新宿のお寿司屋さんだった。

 

私は、寿司屋かぁ、困ったな、ごちそうになる立場で

 

「あのう、私ベジタリアンなのでお寿司はちょっと、、」

 

とは絶対に言えない。いくらなんでもそれは失礼だろう、と
どうすればいいか瞬息で頭を巡らせていた。

 

3人でカウンター席に並んで座り「何でも好きなものを頼みなさい」と言われたけれど、「お寿司で食べられそうなものは、、かっぱ巻きかんぴょう巻きぐらいなんだけど、こんな高級そうな店でそんなリクエストをしてよいものなのか」と頭の中をぐるぐるさせながら、ただもじもじするばかりだった。

 

しかし、この後どんな寿司を食べたのか途中の記憶が全くない。なぜなら衝撃的な出来事が口の中の記憶として強烈に残ったからだ。

 

牛タンの初体験

 

もしかしたら、その記憶自体が間違っているのかもしれない。そもそも寿司屋で牛タンってあり得るのか?

 

とにかく、その未知の食べ物は私の目の前に置かれた。食べなくては、と意を決して口に入れた瞬間

 

「何だ、この食感は?」

「全く噛めない、噛み切れない」

「どうする、どうするんだ」

 

と焦ること10秒ぐらいで(1秒が1分ぐらいに長く感じましたよ~)私はその牛タンを一気に呑み込んだ。塊がスローモーションで食道を降りてゆく。強烈な体感、舌記憶。

 

世の中に牛タンが大好きという人が大勢いるのは知っている。レストラン街で牛タン専門店の前にいつも行列ができているのも知っている。

 

「好きな人にとってはきっとすごく美味しいんだろうな」

「他の部位とはまた違った美味しさがあるんだろうな」と想像はできる。

 

私が牛タンを食べたのは(呑み込んだのは)後にも先にもあの時の一回だけなので、ただ想像するばかりだが。

 

私が不思議なのは、人間の味覚はなぜこんなに個人差があるのか、ということだ。激辛の食べ物を汗だらだらで美味しそうに食べる人もいれば、辛い物は苦手という人もいる。そういえば、猫舌でお茶をすぐには飲めない人だっているではないか。この舌の差って一体何ですか?