ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

ハーバリストの本で憧れていたルバーブ

いくつになっても、人生で初めて何かに出合うのはうれしいものだ。ハーバリスト広田靚子さん、萩尾エリ子さんの本で見たルバーブという野菜。フキのような長い茎がなんとジャムやパイに使われると知って驚いた。

 

直立不動にまっすぐ伸びているワイルドな姿と、どこか愛らしい赤い色。その不思議な野菜に私はずっと憧れていた。いったいどんな味のスウィーツができるのか。

 

そしたら、なんとデパ地下で国産ルバーブを発見!

産地である長野県富士見町はルバーブで町おこしをしているそうで、赤いルバーブの生産は日本一だという。輸入品ではなく国産のルバーブが買える時代になったとは知らなかった。

売っていたのは茎の部分だけど、ルバーブの根は黄色系の染料に、シュウ酸を含む葉は真鍮や銅を磨くのに使われるそうだ。余すところなく使われるなんて、なかなかの優れもののようだ。

ルバーブはよくセロリと似ていると言われるけど、私はフキのほうが似てる気がするなぁ。

この貴重な国産のルバーブを使って、クランブルを作ってみることにした。まずは耐熱容器に4㎝に切ったルバーブを並べる。

そこに少量の水とコーンスターチ、てんさい糖を入れ、全体になじませていく。

生で齧ったわけではないけれど、「畑のレモン」「ものすごく酸っぱい」といろんなところに書かれているので、砂糖は気持ち多めにしてみた。

 

次にクランブル。ヴィーガン仕様でバターの代わりに菜種油を使い、スペルト小麦とオートミールに、シナモンたっぷりで。

そぼろ状になるまで混ぜたら、ルバーブの上に広げて、180℃に温めたオーブンで30分ほど焼く。リンゴのクランブルはよく作るけど、ルバーブは初めてなのでどんな味になるのか楽しみ~。

 

焼きあがるまでに、残りのルバーブでジャムにも挑戦。果物と違って野菜だからすごく硬い感じ。シャキシャキして確かにセロリに似てるかも。これがジャムになるのかなぁ。

ところが、煮始めるとすぐにとろとろしてきて、気になった繊維も柔らかくなってきた。砂糖多めなので、味を引きしめるためにレモン汁と生姜パウダーも加えて。

生まれて初めて作ったルバーブのジャム。一言でいうと「感動の美味しさ」でした。果物のジャムとはちょっと違った味で、甘酸っぱくて土臭さもあり、何というか大地の味みたいな。

 

富士見町農家のサイトによると、昭和初期にカナダ人宣教師が長野県の野尻湖畔にある国際村を訪れた際、当時の貧しかった農家を救うために、カナダから持ち込んだルバーブの栽培を始めたという。これが日本のルバーブ栽培の始まりだそうだ。

 

なるほどと納得した。ルバーブジャムを購入しようと検索すると、国内の修道院が出てきて、修道院でなぜルバーブジャムを販売しているのか不思議だったのだ。

 

初めてのルバーブクランブルが焼きあがった。いい感じに焦げ目がついて、赤い汁がところどころに染み出しているからうまく焼けたみたいだ。

自家製ヴィーガンクリームとできたてのルバーブジャムを添えて。あんなにシャキシャキしていたルバーブがとろけるように柔らかくなっていた。甘酸っぱくて美味しくて、クセになりそう。

太田愛人の「辺境の食卓」に、ルバーブについての記述が出てくる。ルバーブは宣教師たちが「故郷の味をたしなむために」広めたとあり、ご自身も庭にルバーブを栽培し、知人たちに「初物食いを楽しませてあげる」とある。1974年の話だから、ルバーブはかなり珍しかっただろう。

 

面白い逸話も紹介されていた。

さるドイツ人は形が似ているところから、フキを大量に買って、ルバーブのジャムならぬフキの黒焼きを造ってしまった

やっぱり。似てるのはセロリじゃなくて、フキだって。

 

 

 

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