疲れた時の定番のお茶は、ハイビスカス、ローズヒップ、ローズのブレンド。ほどよい酸味とルビーのような美しい赤い色に元気をもらう。
なかでもハイビスカスのお茶は、古代エジプトの時代から飲用されており、ピラミッドを積み上げた作業員たちの喉を潤したという。
そんなハイビスカスだが、メディカルハーブの世界では観賞用のお花と区別してローゼルと呼ばれることが多い。今回幸運にも、珍しい生のローゼルが手に入って舞い上がってしまった。
なんと愛らしい、エレガントなお姿。ポッと膨らみながらキュっと引き締まっていて、なんとも言えない気品が漂っている。それもそのはず、昔から「神に捧げる花」とされ、中国ではローゼルティーは「洛神花茶」と言い、神の字が入っている。
さあ、この貴重なローゼルをどうしよう。たくさんあれば、ジャム用に煮たり、酵素シロップ用に漬けたり、お茶用に干して保存したりできるけど。
この量だから、欲張らずにジャムだけ作ってみることにした。よく洗い、へたの部分をカットして種を取り出す。大きな種だ。果実(正確には蕚)は手で簡単に割れる。
お茶用に一粒だけ取り分けておく。あとのお楽しみ~。
ローゼルジャムの作り方をYouTubeでいろいろ見たけど、農家さんやハーブ専門家でもそれぞれ違っていて、正解はないようだ。砂糖だけの人、水を加えて柔らかく煮る人、レモン汁を加える人など。
私はシンプルにてんさい糖だけで煮ることにした。ローゼルはそれだけでペクチン、粘液質を含んでいるので、一般的なジャムのように種を加えて煮たり、ペクチンを追加しなくてもいいみたい。
水を加えて作るとトロトロになるみたいだけど、私はちょっと素材の形が残っているほうが好みなので、そこまで煮詰めなかった。シンプルに煮ただけで、このねっとり感。
瓶に移したら、たったこれだけ。小さな瓶の半分にも満たない。貴重だなぁ、初めてのローゼルジャム。
メディカルハーブ事典によると、ローゼルは大昔から民間薬として使われてきたそうだ。利尿剤、穏やかな下剤として評価され、また風邪や咽頭痛にはお茶がよく飲まれているという。
最近の研究では、深紅の蕚には強い抗酸化作用と、高血圧とコレステロールに効果を発揮する成分があり、心臓や血管を健康に保つ作用が期待されているそうだ。
取り分けておいた生のローゼル、ひと粒分に熱湯を注ぐ。美しいルビー色のお茶ができた。
酸味が特徴のハイビスカスティーをひと口飲むと、体がシャキっと生き返ったみたい。でも今回はそこに、できたての甘いローゼルジャムを入れてジャムティーを楽しんだ。
かのクレオパトラはハイビスカスを愛し、衣装もハイビスカスで染めていたという。ハイビスカスティーを愛飲し、美貌を保っていたことで有名だ。
クレオパトラにもあやかりたいところだが、ともかく生のローゼルを手にできたことが最高にうれしい。こうやって国産のローゼルに出合えるなんて夢のよう。育ててくれた農家さんに感謝感謝だ。