ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

アーミッシュに学ぶハーブの薬箱

ハーブを日常生活にもっともっと取り入れたい。料理にも、体のお手当てにも、そしてハウスキーピングにも。そんな想いが強くなっています。

 

昔の人のハーブのお手当てはどうだったのだろうと修道院のハーブを調べてみても、現代の生活とかけ離れていて実践するにはピンと来なかったり。

 

そんな時、ふと思ったのがアーミッシュの人たち。今でも電気も引かず、車も持たず、自分たちのコミュニティで規律ある自給自足の生活を続けている彼らの暮らしの中に、何かハーブのヒントがあるのではないかと思い、早速図書館で本をたくさん借りて来ました。(宗派によって電気の使用などの暮らしぶりは違うそうです)

f:id:retoriro:20210225082520j:plain


 予感的中!彼らの暮らしの中に、ハーブで作る家庭薬が活き活きと描かれていましたよ。

体の調子が悪い時、私たちアーミッシュは症状に合わせてハーブやスパイスを組み合わせたり、キッチンにあるものを使ったりして薬を作るの

 

例えば、喉が痛くて体がぞくぞくする時は、エキナセアのハーブティーを飲んで、水にレモン汁かアップルサイダービネガーと蜂蜜を加えてうがいをする。そしてタマネギを刻んで砂糖を加え半日おいたタマネギシロップを飲む。

 

赤ちゃんの夜泣きがひどい時は、カモミールキャットニップフェンネルの種を加えて煎じて飲ませる。

 

下痢にはイチゴの葉を煎じたものを飲む。キャラウェイシードのお茶を飲む。

 

膀胱炎にはクランベリーの絞り汁を飲む。

 

捻挫にはビーツの果肉を布の上に伸ばして湿布薬にする。

 

腎臓の働きが悪い時はパセリを煮出して作ったお茶を飲む。

 

しつこい咳には、小麦粉を水で練り、すり下ろしたニンニクペパーミントオイルを加えて湿布を作って胸に貼る。

 

これこそまさに医食同源、キッチンメディシン!

確かに市販薬は劇的に効くけれど、その反面、副作用が出る場合も少なくないわ。咳止めは吐き気や便秘を引き起こしたり、依存症が強いという問題もあるわ

 

まだまだたくさん載っていましたが、このようなアーミッシュの自家製家庭薬は何もアーミッシュに限った話ではなく、20世紀前半まではアメリカ人も普通に行ってきたことだと言います。

 

もともとのアメリカ先住民の知恵に、移住して来たヨーロッパ人の薬草治療の伝統が加わり、アメリカ家庭薬が生み出されたのでしょう。残念ながら即効性のある西洋医学の薬を好む人が増え、そんな家庭で作る薬は「効果の薄い気休め」のような扱いになっていったのではないでしょうか。

 

私の大好きな日本のおばあちゃんの知恵袋も「おばあちゃんの時代はまだお薬がなかったから、こういう食べ物で体を治したんだよ」と、どこか時代遅れの気休め的な扱いになっている気がして残念です。家庭で行うお手当ては人類の知恵の詰まった、何千年も前から続く植物療法だと思うのですが。

f:id:retoriro:20210225083458j:plain

他にも、ハウスキーピングの方法 や手作り化粧品、歯磨き粉などとても参考になりました。(残念ながら料理だけは完全な肉食で全く参考になりませんでした 笑)

石けん、酢そして重曹の三つは、掃除、洗濯、そして体をきれいにする時に欠かせないアーミッシュの三種の神器。これに柔らかい布とブラシさえあれば、家の中も、衣類も体もピカピカよ。 

 

そして、この本の語り手であるバーバラさんの「健康をつくる五つの星」という考え方がとても素敵でした。

 

太陽の光・食べ物・水・空気・心の在り方

 

この五つが星の角になっていて、それぞれを大切にするだけでなく、五つのバランスをとることが心と体の健康につながるという考え方。

 

朝のやわらかな陽の光、そよそよと吹きわたる風、大地を潤す雨、温かい家族、日々の糧・・・。恵みはそれこそ数えきれないほど。欲しいものを数えるのではなく、与えられているものを数えることが、心豊かに、穏やかに生きることにつながるのよ。

 

聖ヒルデガルトが、日常生活の中で四大元素にできるだけ触れるようにと語ったこととどこか似ていると感じました。

 

アーミッシュの人たちは足るを知る人たちと言われます。服も家も装飾を禁じられているので、シンプルそのもの。男も女も制服のような決まったスタイルをしていて(もちろん手作り)その服がくたびれてきたら作業着に、さらにボロボロになったら細く切って編んでマットやラグを作る。

 

地球環境を守るための4R(リユース、リサイクル、リデュース、リフューズ)を徹底して行っていることは言うまでもなく、アーミッシュの人たちは更にリスペクト(respect)を加えた5Rだと言われます。

 

これは自然への敬意、尊重を意味し、アーミッシュの意識の根幹だと言います。

動物も植物も種子も、それがどんなに小さくても敬意を払わなくてはいけないということ 

引用・参考はこちらの本 ↓ 


アーミッシュホームにようこそ

 

 家庭でのハーブ遣いを学ぼうと調べ始めたアーミッシュの世界ですが、自然界に対する敬意、与えられている恵みに感謝する心、地に足のついた生き方等、教えられたことがたくさんありました。