ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

花を食した日

旅の途中の出来事。期せずして、一度にたくさんの花を食べる機会があった。エディブルフラワーとわかっていても、やっぱり花を食べるのはちょっと勇気がいる。

 

もちろん今までも、菊の花をお浸しにしたり、桜の花で桜ご飯を作ったり、椿の花の天ぷらを食べたこともあった。だけど、生の花を茎までむしゃむしゃと丸ごと食べたのは初めての経験だった。

 

週末に念願だった姫路城を訪れた。もう圧巻の美しさで、暑さも忘れるくらい。

新神戸駅から新幹線で帰路につく予定だったが、まだ時間が余っていたので急遽すぐ近くにある「神戸布引ハーブ園」へ行ってみることにした。まったく予定になかった旅のおまけ。

 

標高400mの山の中にあるハーブ園にはロープウェイで行く。これが長い長い。全長1460mもあるそうだ。アドベンチャー感が半端なく、けっこう怖かった。

山頂にはドイツの古城をモデルにした展望レストハウスがある。レストランやショップが入っていて、自然の景色を楽しみながらゆっくりとくつろぐことができる。

レストランではハーブを使った料理やハーブティーが楽しめるという。こんなところでヴィーガン料理は期待できないけど、連れとシェアでなんとかなるだろうと入ってみることにした。

 

パスタとハーブティーを注文したのだが、驚いたのは前菜だ。なんとエディブルフラワーがいっぱい。料理の上にもお花やハーブがいっぱい載っているけど、さりげなく脇に置かれている花も飾りではなく、すべて食べられるという。

本当に食べても大丈夫なのだろうか。園芸ショップでよく見かけるマリーゴールドもあるけど、ハーブ園のは食用で別物なの?

 

確認のために、フロアスタッフの方に何回も聞いてしまった。

「はい、すべて召し上がっていただけます。食べにくいようでしたら、花びらを千切ってお料理にかけてもいいですよ」

 

これだけ聞いてもまだちょっぴり不安だった。食べ慣れないお花を食べて、あとでお腹が痛くなったりしないかな、、。でもせっかくの機会だから「えーい、もう全部食べてみよう!」と腹をくくった。

 

連れは花には全く興味がないようだったので、生ハムや卵を担当してもらい、私は野菜とすべての花を担当することに。初めは恐る恐るだったけど、うん、おいしい。意外とイケる。

 

考えてみたら、ナスターチウムやルッコラの花はサラダで普通に食べている。その延長と思ったら案外平気かも。むしゃむしゃと茎まで丸ごと味わいながら、気がついたら完食していた。

 

お腹が痛くなることもなく、それどころかお花のエネルギーをそっくりそのままいただいて、元気が出たようだった。

 

帰りはロープウェイに乗らず、ゆっくりとハーブ園を巡りながら下っていった。広大な敷地だ。バラ園やラベンダー畑もあったけど、季節外れで咲いてなかった。残念。

 

途中エディブルフラワーのコーナーを見つけた。さっき食べたのはアリッサム、マリーゴールド、ペンタス、ナデシコ、コーンフラワー、サルビア等だったようだ。

とても素敵なハーブ園だったので、春になったら絶対また来ようと思った。

 

エディブルフラワーに興味が出てきて、こんな雑誌を買ってみた。花を食べる文化は世界中どの国にも昔からあるようだ。

イタリアでは、ズッキーニやかぼちゃの花に衣をつけて揚げたフライが人気。韓国では花を載せた伝統菓子「花煎」(ファジョン)が有名。ツツジもよく食べるそうだ。

タイではバナナの花を生で食べ、メキシコではダリアの花を煮込んで食べる。中国では薬膳で花を食べる養生法があり、アメリカではタンポポやベゴニアが古くから食べられていたそうだ。

 

「人はなぜ花を食べるのか」という問いには、やはり「心身に効用がある」という共通認識から、花食文化が世界に広がっているようだ。またメキシコでは「花には強い神聖な力がある」と考えられ、その力を体内に取り込む意味もあるそうだ。

 

花食ってなんか神秘的でハマりそう。でも日本エディブルフラワー協会によると、やはり注意が必要なようだ。

「農林水産省のガイドラインに基づいて食用として安全に栽培された花」
「園芸用は食用とならない農薬が使われていることもある」

 

大昔の人は身近にある花を直感的に食べていたのではないかと思うけど、現代人には「食用」かどうかが重要なポイントのようだ。ハーブ園での経験で花食にちょっと度胸がついた気がしていたけど、毒性のある花もあるというから、むやみやたらに食べるのはやめたほうがよさそうだ。

 

retoriro.hateblo.jp

 

retoriro.hateblo.jp