ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

庭のベリー&ベリーでコーディアル作り

我家の庭では、毎年この時季にブルーベリーとブラックベリーがたくさんとれるようになった。植えたのはもう20年も前で、よく実をつける年と、まったくダメな年もあったりしたけど、ここのところ豊作が続いている。うれしいことだ。

 

でも、正直ブラックベリーは食べにくい。熟して甘くなるまで待つとポタポタと地面に落ちてしまうし、大敵のカメムシがへばりついてチュウチュウと甘い汁を吸っている。そうなる前にとると、すっぱくて食べられないのだ。

ブラックベリーはアントシアニンやポリフェノールが豊富で、眼精疲労やアンチエイジングに効果があるという。だからカメムシばかりに吸われてはもったいないと、すっぱいうちにとって、せっせとジャムにしている。

 

愛読している薬草魔女の本によると、ブラックベリーの実や果汁は膀胱炎やリウマチに効くので重宝されていたとか。

 

また、葉には収斂効果があり、マウスウォッシュやうがいにも使われるそうだ。扁桃腺の腫れや歯肉炎、歯痛などお口のトラブルを和らげてくれる優れものらしい。意外とすごいぞ、ブラックベリー!

「魔女の手引書」より

いつもは酵素シロップにするところ、今回はイギリスの伝統的な作り方でコーディアルを作ってみることにした。

 

コーディアルとは「心からの」という意味を持つ飲み物のことで、古くは様々な薬草を混ぜ合わせたものが医薬品として使用されたそうだ。イギリスでは滋養強壮作用のあるコーディアルが暮らしの中で愛されてきたという。きっと代々受け継がれた家庭のレシピがあるんだろうな。

コーディアルの作り方は2段階。まずは果実に水を加えて煮ることから。

沸騰したら弱火にして15分ぐらい煮る。味見してみたけど、ただすっぱいだけだった!

次は、これを細かい網で濾していく。ふうっ、ブラックベリーはつぶつぶなので、なかなか手ごわい。手間がかかって思わずため息が出ちゃうけど、昔のイギリスの暮らしに思いを馳せて、のんびりと手作業を楽しもう。

きれいに濾せたら、砂糖を加えて煮詰めていく。最後にレモン汁を加えると、スッキリと美味しくなる。

煮詰めたら、漏斗で瓶に移していよいよ完成だ。最初はゆっくり丁寧にしていた作業も、だんだんいい加減になってきて、終わる頃にはいつもいっぱいこぼしている。

きれいな色のベリー&ベリー・コーディアルの完成。炭酸で薄めたり、紅茶にちょっと落としたり、オーツミルクで割ったりといろいろ楽しめる。

コーディアルと聞いて思い出すのは、赤毛のアンのお話。大人たちの優雅なお茶会に憧れているアンはダイアナをお茶会に招く。

飲み物に何を出すかは、黙っておくわね。ラの字とコの字で始まる二つの言葉で、色は真っ赤よ。それだけ教えてあげる。

「赤毛のアン」(集英社)より

ところがアンは大変な失敗をして、お茶会は台無しになる。ラズベリー・コーディアル(木いちご水)を出したつもりが、間違ってスグリのワインを出してしまったのだ。美味しくて3杯もおかわりしたダイアナは、すっかり酔っぱらって具合が悪くなってしまう。

 

カンカンに怒ったダイアナのお母さんからは、性悪な子、二度と遊ばせないと会うのを禁止され、アンは失意のどん底に落とされる。

 

この話を読んだ時、私の中にラズベリー・コーディアルが強烈に印象に残った。真っ赤な色をした、いかにも外国の飲み物といったカタカナの響き。一体どんな味がするのか。

 

長い間ずっと憧れていて、庭にもラズベリーを植えてみたけど、隣のブラックベリーのパワーに押されて、育たなかった。場所を変えてまた植えてみようかな。いつかは憧れのラズベリー・コーディアルを手作りしてみたいものだ。