ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

大分香りの博物館で調香体験

香水やコロンといった香りを身につける習慣はなかった。病院、ヨガスタジオ、レストラン等で他人がつけている香りを不快に感じることも多く、それなら逆もあるだろうと自分はつけないことにしていた。

 

ハーブやアロマを学び、香りの歴史や癒しの効能などを知ると、香りの世界の奥深さに惹かれるようになり、特に和の香りの世界、平安貴族の練香や足利義政のもとで生まれた香道をもっと学びたくなった。

 

今回訪れたのは、別府大学の付属施設「大分香りの博物館」だ。そこで「調香体験」と「匂い袋作り」の2つの体験コースを申し込んだ。

 

博物館は3階建てで、「香りプロダクトギャラリー」「香りヒストリーギャラリー」「学びと癒しのギャラリー」が設けられ、レストラン、ショップに加え、ハーブ園や足湯もあり、ゆっくりと楽しめるようになっている。

 

展示は圧巻の一言で、香りについてのすべてがここで学べると言っても過言ではないと感じた。まずは1階の「香りプロダクトギャラリー」から。

 

この大きな器具は蒸留器。天然香料を製造するための「蒸留法」で使われるものだ。私も家庭用のミニ蒸留器を持っているから、昔から方法は変わらないんだなと感無量。

こちらはもう一つの製造法「圧搾法」で使われる機械だ。

こちらは様々な香料を調合するフランス製の「調香台」で、パイプオルガンに似ているので「オルガン台」とも言われるそうだ。

日本の薄荷は海外でも人気で一時盛んに輸出されたそうだが、こんなレトロな商標が展示されていた。

日本の香りの歴史についての展示もあった。明治時代には香水の人気が高まり、「おいらん」香水や「団十郎」香水と呼ばれたものもあったそうだ。

そして素敵な香水瓶の数々。香りを閉じ込めるために特別に作られた瓶。ここにも奥深い美の世界がある。

展示をゆっくりみたいところだけど、そろそろ1回目の体験の時間だ。3階の「学びと癒しのギャラリー」へ移動する。

 

まずは「調香体験」から。席に着くと目の前に13種類の香りの瓶と、サンプルの丸いケースがあった。いよいよ始まる。何歳になっても初めての体験はちょっと緊張するものだ。

香りは揮発速度によって、トップノート・ミドルノート・エンドノートに分けられる。まずはそれぞれのノートを1種類ずつ選ぶのだが、13種類の丸いサンプルケースを開けて、ひとつずつ香りを確かめていく。自分の好みの香りをじっくり選びたいけど、マスクをしているのでなかなか難しい。

 

最初にミドルノートを選ぶ。ミドルノートは骨格となる香り。私はスミレが好きなので、バイオレットが含まれるM-3を選んだ。

 

次に、つけた瞬間から香り、いちばん先に消えてしまうトップノートを選ぶ。あまり甘くないのが好みなので、男性用となっているT-1を選んだ。ライムやレモン系だ。

 

最後に持続時間が長く「残り香」となる土台の香り、エンドノートを選ぶ。私は樹が好きなので、ウッディ(サンダルウッド、ヒノキ等)の香りE-2を選んだ。

まずはこの3種類で20㎖を作るのだが、配分は自分で決めなければならない。小さいビーカーに入れてから、大きいビーカーに移していく。マドラーでかき混ぜて、香りを確かめたら、最後にアクセントで更に10㎖を加える。

 

同じものでもいいし、別のものを選んでもいいというので、私はちょっと気になっていたT-2のグリーン(リーフグリーン、ガルバナム等)を加えることにした。ガルバナムは旧約聖書にも出てくる神聖な香りで、瞑想を行う時の助けにもなるという。

 

すべてを混ぜ合わせたら、ロートを使って瓶に移していく。こぼしてしまいそうで緊張の瞬間だ。最後に博物館のラベルを貼ったら、自分だけのオリジナル香水の出来上がり。この配合を自分の香水として博物館に登録しておくと、無くなった時に追加で注文できるそうだ。

自画自賛だけど、自分で選んで調香しただけあって本当にいい香りだ。甘すぎず、爽やか系だが、後から樹の落ち着いた香りがしてくる。そして最後に古代から讃えられていた神聖な香り、ガルバナムを加えたので神秘の力が増した気がする。

 

最後に隣の人と完成品を比較して香ってみたけど、全然違う香りに仕上がっていた。こんなふうに香りは極めてその人の好みが出るものだから、やっぱり公共の場では控えたほうがいいと改めて思った。自分だけで楽しもう。

 

香りの博物館・後編は匂い袋体験を書く予定。

 

 

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