昨年、大分にある香りの博物館を訪れてから、香りについて俄然興味が増していろいろなアロマやお香を試している。最近は和の香りにより惹かれるようになり、いつの間にか毎日お香を焚くのが習慣になった。
季節は春、ちょうど4月18日は「お香の日」ということで、何か特別な日にしたいなと思っていたところ、ニールズヤードさんで「手作りお香」の講座を見つけた。
以前、本を参考にタブ粉とヨモギでお香を作ったことがあったけど、完成したと思って袋にしまったら、すぐにカビてしまった。
一度きちんと学んでみようと、さっそく申し込んだ。最近はオンライン講座が多いので家にいながら体験できてとても便利だ。
届いた教材はこちら。作り方は至ってシンプルで、タブ粉に植物オイルとお水を混ぜるだけ。以前はそこにヨモギを混ぜたけど、今回はお花の精油を混ぜていく。
ただし、混ぜ方にポイントがあるようだ。大雑把に混ぜるのではなく、丁寧に、根気よく、全体になじむように混ぜていく。
まず、ビニール袋に入れたタブ粉に植物オイルを入れてよく混ぜる。なじんだら、今度は水を小さじ2ぐらい少しずつ混ぜていく。あら、不思議。お水を入れたら茶色の粉がピンク色になった。
全体がひとつにまとまってきたところへ、精油を混ぜていく。今回の精油はニールズヤードさんで販売されている「ウーマンズバランス」というブレンドに、パチュリを加えたもの。ウーマンズバランスはローズ・ゼラニウム・クラリセージのブレンドだ。
「女性としての自信と魅力を高めたいとき」「ココロやカラダが揺らいだとき」におススメのブレンドだそうだ。すごくいい香りで、こねている時間がまさにヒーリングタイム。
先生のお話の中で印象に残ったのは「香りを感じる脳の部分と、ストレスを感じる脳の部分は同じ」というお話だ。だから香りは、ストレスを感じている脳を一瞬で「いい気持ち」に変えることができるそうだ。
確かにバラやラベンダーなどの香りを嗅ぐと、嫌なことも忘れて一瞬でこの上ない幸せな感覚に包まれるけど、こんな体の秘密があったとは。
さて、まとまってきたらまず12個に分けておく。それを一つずつ、トンガリ帽子型に成型するんだけど、粘土遊びみたいでなんだか楽しい。
12個作り終わって並べてみると、トンガリすぎていたり、上でなく斜めを向いていたりと、何とも不揃い、よく言えば手作り感があふれている、、かな。このまま1週間から10日ぐらい乾かしたら完成だ。乾燥不足だとカビることもあるというから、以前の失敗は乾燥が足りなかったせいかも。
ところで4月18日の「お香の日」は、1992年4月に「全国薫物線香組合協議会」が制定した記念日だそうだ。その由来は日本書紀に、595年4月に「沈水、淡路島に漂着」と記されていることから。
淡路島に2mもある香木が漂着し、島民がその木を燃やすと大変いい香りが辺り一面に広がったので驚いて、朝廷に献上した。すると聖徳太子は、すぐにこの木が沈香だと見抜いたという。日本に初めてお香が伝来したエピソードとして伝わっている。
そして2つめの理由は、「香」の漢字の中に「十、八、日」が含まれていることだ。なるほど、クイズみたいで面白い!
10日間乾かしたので、いよいよ手作りお香を焚いてみることにした。どんな香りがするのやら。
うわぁ~、いい香り。薔薇の香りがするけど、ブレンドだからそれだけじゃない奥深さが感じられる。何より、ちゃんと燃えて、香ってくれるからうれしい。ピンクの色と煙の漂う先をただ眺めているだけでも、ああ癒される~。
ところが、お香の効果は癒しだけではないようだ。「香十徳」というお香の効能を表した詩がある。11世紀の北宋の詩人・黄庭堅(こうていけん)の作だが、一休禅師によって日本に紹介された。
感格鬼神 清浄心身
能除汚穢 能覚睡眠
静中成友 塵裡偸閑
多而不厭 寡而為足
久蔵不朽 常用無障
お香の良いところを端的に表した詩で、①感覚を研ぎ澄まし②心身を清らかにし③よく穢れを取り除き、、と続く。
その中で、私が驚いたのが4番目のもの。
能覚睡眠(よく眠りを覚ます)
今までアロマやお香って、リラックスするから夜に焚いて睡眠導入に使うといいのかなと思っていたけど、お香の場合は逆で「目を覚ます効果がある」とは全然知らなかった。
これから朝はお香を焚いてシャキッとし、夜はアロマを焚いてゆったりし、と使い分けてみるのも楽しいかもしれない。