誰が最初に言ったのか、ビーツは「飲む輸血」と表現されることが多い。初めてビーツジュースを自分で作った時に、なるほどな~と納得した。
切る前はごつごつしていて土色っぽいのに、ひとたび切ったら鮮やかな赤い汁が台所中に飛び散って、まな板はもちろん、自分の手も真っ赤っか、レースのカーテンまで染みだらけにしたこともある。
こんなに鮮やかな赤い色をした野菜ってある?それでいて奥深い味がするから、ビーツジュースを飲むと、なんだか身体中の血液が濃くなったみたい。まさに「飲む輸血」という表現がぴったりなんだ。
そんなビーツが売っていました!めったにお目にかかれないので、すごく嬉しい。
何を作ろうか迷ったけど、やっぱりビーツジュースは外せない。まずは補血から(笑)
切ってみたら鮮やかな赤。渦巻き模様がなんとも可愛い。
細かく切って、ミキサーに入れる。ビーツだけだとちょっと土臭い味なので、赤いお仲間のラズベリーも加えて。
鮮やかなビーツジュースで大地のエネルギーをチャージしよう。
次に、ひよこ豆でいつも作っているフムスにビーツを加えて「ビーツフムス」を作ってみた。パンにつけたり、野菜スティックにつけたり、いろいろ楽しめそうだ。
茹でたひよこ豆とビーツに、ニンニク擦りおろし少々、レモン汁、塩、練りごまを入れてフードプロセッサーでガーっとしたら出来上がり。
まだまだビーツが余っているので、スープも作ることにした。前に雑誌で見たアーユルヴェーダ式のビーツスープが気になっているんだけど、私はアーユルヴェーダの「ギー」がどうも苦手。
世界最高のオイルと言われていて、伝統もあるし、体にもよさそうなので、興味を持ってギー作りのワークショップにも参加してみた。作り方は簡単で、無塩バターを煮詰めて漉すだけ。
不純物が取り除かれた栄養価の高いバターなのだけど、私は菜食だからか油っぽくてダメだった。
というわけで、アーユルヴェーダ式ではないけれど、材料だけちょっと真似して作ってみることにした。ビーツとピーナッツの組み合わせはコクが出そうだ。
小鍋にニンニク、ピーナッツを入れて炒める。オイルは太白ごま油を使った。次に玉ねぎを炒め、透き通ってきたらビーツを加えて更に炒める。
水とベジブイヨンを加えて煮詰め、塩・胡椒、シナモンを加えたら出来上がり。
ミキサーでガーしてポタージュにしてもよかったけど、フムスも作ったのでビーツをこのまま味わうことにした。
できたてのビーツスープに、ビーツジュースとビーツフムス。なんだかビーツ尽くしになってしまった。食後のティー用にカモミールも摘んで。
根菜ってやっぱり少量でもお腹いっぱいになる。どっしりと重くて、ふわふわしていた自分まで大地に足をつけたみたいな、土台が安定したみたいな感覚。人は食べたもので作られるって言うけど、その通りだなと感じた。
ビーツは「奇跡の野菜」と言われるくらい栄養価が高いスーパーフード。特に血液の浄化、血流量の上昇、血行改善、血圧の調整など、血液関係の改善に効果があると言われる。なるほど「飲む輸血」という異名を持つのも納得だ。
絞った液体の見た目が血液に似ている上に、効能も血液に関係するなんてウソみたいと思うかもしれない。でも、クルミが脳に、小豆が腎臓に効くというのは昔からよく知られた話で、象形薬能論、同類相補などの専門用語もある。
形や色など、見た目が似ているものが私たちの体を助けてくれるというのは、「神様がわかりやすいサインをくれた」ということらしい。そんなサインを食べ物の中に探してみるのも楽しいかもしれない。「頭がピーマン」なんて昔流行ったけど、そんな相似はちょっと違うか。