セージ、ローズマリー、タイム、こんなハーブの名前を並べるとスカボロフェアのフレーズを思い出す方も多いかもしれない。
今回は歌ではなくお酢の話。いつものハーブビネガーを「4人の泥棒の酢」を意識して作ってみることにした。
☆4人の泥棒の酢(4 thieves vinegar)
17世紀に南フランスでペストが大流行。この時とばかりに死者があふれる街で盗みを繰り返す4人の泥棒がいた。とうとう警察に逮捕されるが、自分たちがペストにかからない秘密を教えたことで、死刑を免れたという。
その秘密が、なんとハーブ酢だったというのだ。彼らはセージ、ローズマリー、タイム、ラベンダーを酢に漬けたものを体に塗ったり、飲んだりしていてペストにかからなかったという。
言われてみれば、これらのハーブは抗菌作用が強いことで知られているので、納得のレシピだ。
「4人の泥棒の酢」と呼ばれる伝説のレシピは、1748年にはフランスの公式な薬局方であるCODEXにも登録され、長い間消毒液として販売されたそうだ。
ハーブだけでなくシナモンやナツメグ等のスパイスやニンニクを加えたものなど、いろんなレシピがあるようだけど、今回はシンプルに4つのハーブと有機リンゴ酢で作ることにした。
ローズマリー、タイム、ラベンダー、セージ。ドライの方が無難だけど、やっぱりフレッシュが見た目も楽しい。
消毒したガラス瓶にハーブを入れ、リンゴ酢を注いでいく。ドライのラベンダーもちょっと加えてみた。
2週間ぐらい漬け込んで、漉したら完成。薄めてドリンクにしたり、料理に使ったり、オリーブオイルと混ぜてドレッシングにしたり。このまま体に塗るのは刺激が強すぎると思うけど、薄めれば抗菌スプレーとしても使えるはずだ。
4人の泥棒たちはどんなふうにハーブ酢を使っていたんだろう。ペスト菌を媒介するのはノミだそうで、確かに薬草成分たっぷりの酢を体に塗っていたらノミも逃げて行くかも。
ところで、この4人の泥棒の酢は売っているので買うこともできる。商品名もズバリ、フォーシーブスビネガーだ。漢字で「有機泥棒酢」と書いてあったので笑ってしまった。
4人の泥棒たちの秘密のレシピを現代に蘇らせたのは、ナチュロパス(自然療法家)のルイ・ウベルティという人。なんと25年の歳月と情熱をかけて研究・開発したそうだ。
「世界中の人々が健康で幸せであってほしい」と願っていたウベルティ氏は92歳まで現役で活躍したそうだ。
(商品説明より引用)
原材料名には、有機アップルサイダービネガーを始め、たくさんの有機ハーブ、有機フルーツ、有機スパイスの名前がある。配合した種類で28と50の2つのタイプがあるようだ。
さっそく原液をちょっと味見してみたら、とても深い酸味で美味しかった。薄めても飲んでみたけど、よくある「飲む酢」のように甘さを加えていないので、いかにも体によさそうな印象だ。
フランスではレスキュービネガーとして飲用はもちろん、うがいに、打撲時の湿布に、虫刺されにと色々使われているそうだ。もともとハーブとはそういうものだということを思い出させてくれる。
uberti(ウベルティ)有機フォーシーブスビネガー 28 500ml
自分で仕込んだ方は、シンプルに4つのハーブだけ。作り慣れてきたら、この「泥棒の酢」を参考に、果物やニンニク、シナモンなども加えてみたい。
それにしても、商品名に泥棒がついてるなんて聞いたことない。泥棒たちもびっくりでしょう。