どんなハーブが好きかと聞かれたら、ローズマリー、カモミール、ミントなど次々浮かんで困るけど、やっぱりセージかな。
古代ギリシア、ローマ時代から万能薬として使われてきた聖なる薬草セージ。学名のsalviaには「救う」「癒す」という意味があり、「救世主セージ」と呼ばれていたという。
現存する最古の修道院の庭園図面にもセージが登場するし、カール大帝は皇帝庭園の最も良い場所にセージを栽培するように指示したというから、どれだけ重要な植物だったのかがわかる。
ヨーロッパには古くからこんな言い伝えがあるそうだ。
「庭にセージが繁っていたら、病で死ぬことはない」
「長生きしたけりゃ5月にセージを食べなさい」
すごいな、セージ。和名はヤクヨウサルビア。私も庭に2種類のセージを植えている。
どちらもいい香り~、そばにいるだけで癒される。私は気楽に葉っぱを取っちゃうけど、古代ローマではセージの収穫は神聖なる儀式で、身を清め、白い服を着て行ったそうだ。
セージからパワーをもらおうと、甘くないマフィンを焼いてみた。材料はスペルト小麦、豆乳、オリーブオイル、セージ、紫玉ねぎなど。
生地に刻んだセージと炒めた紫玉ねぎを混ぜ込み、上にセージの葉を飾った。甘味無しで、味付けは先日作ったハーブソルトのみ。
聖ヒルデガルトもセージを粉にしてパンと食べると、体内の有害な体液が消えていくと言っているし、何よりスペルト小麦は彼女のイチオシなので期待できそう。
180℃で30分ぐらい焼いてみた。こんがりときれいに仕上がったようだ。
お茶もセージの葉っぱでシングルティーを。ブレンドは飲みやすいけど、シングルでそのハーブをじっくり味わいたい時もある。
最近はお花のお茶にすっかりはまっているので、ドライのすみれも浮かべてみた。
取り合えず食べすぎないように1個だけ取り分けて試食タイム。
ハーブ風味の塩味マフィン。スペルト小麦なので硬くなるかと思ったけど、炒めたオニオンのオイルのおかげで、しっとりしていた。
余ったセージのお茶はリンゴ酢をちょっと加えると即席のうがい薬にもなる。ヨーロッパに古くから伝わる本格的なレシピでは、リンゴ酢と乾燥セージを混ぜて2週間ぐらい寝かせて作るらしい。飲んでよし、うがいもよし、ということなので今度作ってみよう。
「セージの葉っぱを噛んでいれば、虫歯も抑えられるし歯茎も丈夫になる」
「鼻の調子が悪ければセージの葉を鼻の穴に突っ込んどけば治る」
こんな話があるぐらい、神聖なセージも今では庶民のハーブになったようだ。鼻の穴に突っ込むなんて、なんとワイルドな。真似してみるには勇気が必要だ。