ずっとヴィーガン暮らし

薬草学の母ヒルデガルトに憧れて植物療法を学んでいます

秋は白い食材がいいらしい

季節によって食材の色のイメージがある。春は菜花、芹、クレソン、グリーンピースなど、春野菜がおいしいので断然緑だ。夏はトマトやスイカで赤、秋は栗やさつま芋、かぼちゃなどで、ちょっと茶系の黄色、冬は黒豆や黒米など、いわゆる黒五をよく食べるので個人的には黒だ。

 

ところが薬膳の本をみると、秋は白い食材がいいという。梨、蓮根、ユリ根、山芋、白キクラゲ、松の実、等々。それは秋の身体とも関係しているらしい。

 

漢方の書籍で人気の櫻井大典氏によると、この時期に最も気をつけないといけないのが「空気の乾燥」で、「肺はあらゆる臓器の中で唯一、外気と接する場所」なので、乾燥が肺にとって一番の大敵となるという。そして、その乾燥を防いで、肺に潤いを与えてくれるのが白い食材というわけだ。

 

おもしろいのが、中医学の「似類補類」という考え方。「形の似ている食材はその臓器を補う」というものだが、私は全く同じ考え方を西洋ハーブ医学のほうで「象形薬能論」と習った。胡桃と脳、小豆と腎臓など、形が似ているものが我々の身体の不調を助けてくれるというものだ。自然界の神様が形を似せて私達にヒントをくれたとか。

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秋の身体でもっとも養生しなければいけない肺。似ている食材は何かというと、気管のように筒状に穴が空いている蓮根だ。今回は蓮根と、潤いを補ってくれる梨を使って、今の季節にぴったりの薬膳スープを作ってみた。

ゆでた蓮根と梨をフードプロセッサーにかける。

よく混ざったら、小鍋に入れて温める。水溶き葛粉を加えてとろみをつけ、すりおろした生姜を加える。クコの実を飾って。

しっとりとして喉の通りがいい。生姜で身体が温まる。潤いたっぷりの秋の薬膳スープ。

 

私は咳が出る時、よくこの蓮根に助けられてきた。蓮根をすりおろして、その絞り汁をそのまま飲んだり、時間のある時は「蓮根葛湯」も作る。咳が出る時のお助け「自然くすり」だ。なるほど言われてみれば、筒状の穴が空いていて気管に似てるからなんだなぁ。喉に貼ったりするネギも然り。

 

少し余ったので、甘酒を加えてドリンクにもしてみた。ミキサーで混ぜて、おろし生姜を加える。

蓮根と梨は本当によく合うと思う。甘酒との組み合わせもいい。白い食材で秋の薬膳ドリンク。肺を守ってくれますように。

 

梨で薬膳デザートも作ってみた。小鍋に水、生姜、黒砂糖を入れて煮たて、そこに梨とナツメ、クコの実を入れて5分ぐらい煮たらできあがり。

梨は剥いてそのまま食べることが多かったけど、こんなふうに煮てもまた違った美味しさが楽しめる。それにしても梨ってなんて瑞々しいんだ。潤いと言ったら梨だ。

 

ところで秋は、食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋、読書の秋など、いろんなことを楽しみやすい季節だが、気温が下がり、日も短くなるので、なんとなくもの悲しくなる季節でもある。

 

中医学では「肺は悲しみの臓器」と言うそうだ。悲しみを抱え続けると気が落ちて憂鬱になり、肺が弱まるという。確かに、やりきれなくてため息が出たり、涙が込み上げてしゃくりあげたり、感情によって呼吸も変わってしまう。

 

私達の身体と感情の関係、そして季節とのつながり、旬の食材がなぜあるのか、そんなことに目を向けると興味が尽きない。今はとにかく白い食材を食べよう。

 

 

☆以下の本を参考にしました。

二十四節気に沿って、身体の変化、季節の養生、旬の食材や行事などが紹介されています。「行合(ゆきあい)の空」という美しい日本語もこの本で知りました。

 

 

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