落花生と言えば千葉県産が有名だ。殻をパリっと割って、薄皮をチョリチョリしてから口に放り込む。特に面倒だとも思わず、次から次へと勝手に手が動く。そんなふうに食べるのが当たり前だと思っていたけど。
数年前から、時々「生落花生」なるものを見かけるようになった。初めて見た時は「えっ、なまの落花生?どうやって食べるの?」と驚いた。調べてみると「40分ぐらい茹でる」とあるので、なんか手間がかかりそうだと思って買わなかった。
でも、一度は食べてみたいと好奇心がまさって、今回初めて買ってみた。泥が付いていて、いかにも掘りたての生落花生。実は落花生が泥の中に埋まっていることすら全然知らなかった。
殻をむいてみたら、なんとほんのりピンク色の薄皮が付いた実が出てきた。なんか愛らしくて新鮮だ。
とにかく初めての生落花生なので、どうやって食べたらいいのかわからない。雑誌に美味しそうな「きのこと生落花生の炊き込みご飯」が載っていたので、それを作ってみることにした。
まずはきのこ類(椎茸、しめじ、舞茸)と生落花生を土鍋で炒めるんだけど、薄皮剥くのけっこう大変だった。落花生、白くてつやつやだ。
レシピではバターで香ばしく炒めるところ、私はごま油にしてみた。塩も加えてしんなりするまで蓋をして蒸し焼きに。柔らかくなったら醤油を加えて、さらに蓋をして蒸らす。
一旦中身をボウルに取り出したら、土鍋に研いでおいた米2合を入れ、具材を戻し水を加えて炊く。落花生が大きくて、なかなか存在感がある。
こんなふうに炊き上がりました!きのこ尽くしに、つやつやの生落花生が載っていて(炊いたからもう生じゃないけど)美味しそう~。
秋は炊き込みご飯の季節だと思う。栗ご飯、きのこご飯、さつま芋ご飯、むかごご飯もある。五穀豊穣、お米がおいしい。生落花生ご飯が加わって、秋の楽しみが増えた。
右は「落花生汁」で、生の落花生を40分ぐらい茹でたところに豆乳を加え、白味噌で味をつける。落花生に甘みとコクがあるので、出汁は要らない。
カリっとした乾燥落花生しか知らなかったけど、生の落花生がこんなにしっとり柔らかいとは、驚きの食感だ。一度食べたらクセになること間違いなし。
落花生が余ったので、シンプルな落花生ご飯も作ってみた。お米に酒と塩を加え、生落花生を載せて普通に炊飯器で炊くだけ。薄皮をむいたのと、むいてないのも少し混ぜて。
いやぁ、こちらは手抜きのようなシンプルさが功を奏したのか、とっても美味しかった。落花生の香りとコクが十分すぎるほど感じられる。初めて生の落花生を味わうなら、断然こちらがおススメだ。旬の素材はシンプルに調理すればするほどよいということか。
なんとなく見知ってはいた生落花生の存在。今回初めて食べてみて、すっかりその奥深い味わいに魅了されてしまった。
ところで、雑誌やレシピ本を見ていて気がついたことがある。「運よく生の落花生が手に入ったら」「乾燥落花生でもいいけど、運よく生が手に入ったら」と、どの本にも「運よく」と書いてあったのだ。
そうか、生落花生はまだまだどこでも気軽に買えるものではないのか。私はありがたいことに、その「運」に恵まれたのだ。感謝感謝。来年も出合えますように。