とても楽しい本を読んだので、ご紹介します。
「スピリチュアル系のトリセツ」辛酸なめ子著
「スピリチュアル系」と「トリセツ」の言葉の組み合わせが意外ですよね。最初にこのタイトルを見た時は「ええっ、スピ系にもトリセツがあるなんて」「確かにスピ系女子と付き合うのは難しいかもね」なんて思いました。
私はニューエイジ世代なので、いわゆる「精神世界」が日本で流行り始めた頃は、その分野の本はよく読んでいました。(まだスピリチュアルとは言わなかった)
でも「引き寄せ」が大流行し、「夢を叶える」「自己実現」が強く目的意識化され、宇宙と繋がって「いいこと」を引き寄せるテクニックばかりが強調されるようになってからは、その宇宙利用にすっかり嫌気がさして、いわゆる「スピ系」からは遠ざかっていました。自分に起こる「いいこと」は引き寄せるものではなくて、宇宙からのギフトだと考えていたからです。
ところが、偶然書店でこの本を目にしたのです。そして表紙を見て驚きました。そこには天然石を身に着けて、アロマオイルとヨガマットを持っているスピリチュアル系の女子が描かれていたのです。そして白魔女系という謎の言葉も。
私だって家に天然石あるよ、アロマオイルあるよ、ヨガマットあるよ、薬草魔女は憧れてるよ、、(白魔女とは「神聖なるホワイトマジックを使い、レムリアに原型を持つ真の魔女」らしいけど)ええっ、私ってスピリチュアル系の女子(失礼!)だったの⁉
表紙が面白かったのと、辛酸なめ子氏の辛口のコラムが好きだったので、さっそく読んでみることにしました。
著者によるクールな分類(この著者はいつも大変物事を客観的に冷めた目で分析する)によると、一言でスピ系といってもいろいろあるようです。ライトな方から順番にみてみると
占い系・心霊系・パワースポット系・白魔女系・ハワイ系・前世系・オーラ系・天使系・引き寄せ系・陰謀系・アセンション系・宇宙人系・ライトワーカー系・笑い系・悟り系
占い系や心霊系はスピリチュアルの入り口で、占星術やタロット、心霊写真やオカルト番組などから、だんだんはまっていくようです。
私はパワースポット巡りはしてないし、過去生のカルマも気にしない。エンジェルカードも持ってない。でも「白魔女系」の説明を読むと「ハーブやフラワーエッセンス、アロマテラピーやオーガニックコスメ、スーパーフードに詳しい」とある。
ここにぴったり当てはまっちゃう! 私は白魔女系だったのか、レムリアとかいつの時代か知らないけど(*_*)
知らない言葉も出てきました。
「ライトワーカー系」
どんな仕事をする人かと思いきや、「光の仕事をする人」で「自分は地球人を救うために他の星から転生してきた崇高な魂、と信じる人」「被災地にイメージの中で光を送り、癒したりする」とあります。
驚いたのは「笑い系」がスピ度が高い方に分類されていること。「笑って波動を高めるポジティブな人々」だそうです。笑いも奥が深いですものね。
最近のスピリチュアルは引き寄せ一辺倒だというのは、私の思い込みだったようです。反省、反省・・。
この著者は「地に足が着いたスピリチュアルが理想です」と語っているように、たくさんのスピ系のセミナーやセッションをご自身で体験されています。中にはうらやましくなるような人とも会っていて✨
「ダライ・ラマ法王の講演会」
「ウィリアム・レーネン氏のチャネリングセミナー」
「ライトワーカーのアダマ氏のセミナー」
「不食のジャスムヒーン氏のセミナー」
「松久正氏と保江邦夫氏のトークイベント」
「ヒーラーのクレッグ・ジュンジュンラ氏の誘導セミナー」
とにかく実践力がすごい。スピ系の分類のライトからヘビーまで全てを網羅して体験してみたいという熱意が伝わってきます。神社巡りはもちろん、占いフェスへ行ったり、「ミネラルショー」へ出かけてパワーストーンを買ったり。オーラ鑑定からマックス・コッパ氏の手相体験、川島真紀氏の「開運風水部屋セミナー」体験、等々。
ガンジス川に頭まで浸かって沐浴したり、いろんな所へ出かけている。
そして亡くなったお母様についても、サイキックのロン・バート氏に死後の様子を尋ねたり、イタコさんに霊を下ろしてもらったり。
ご自身で体験したことをユーモアたっぷりで書いているので、読むほうも「これが今のいわゆるスピ系のリアルなのかぁ」と追体験しているような気分になれる。
途中で「スピリチュアル苦手系男子の話」なんてコラムもあるところ、さすがコラムニストという感じです。スピリチュアル苦手系男子との噛み合わない会話は「こういう会話あるだろうな」とリアル感満載です。
トリセツ本らしく、全ての〇〇系の口癖(浄化ですから。チャクラが通りました。チャネってみた等)や仲良くなる方法まで詳しく解説。イラストや写真も満載で、こんなに楽しい「スピ系」の本を初めて読みました。
最後の方は宇宙人の種類(地球にはなんと100種類もの宇宙人がいるらしい)やトリプルアセンション(DNAがアップグレード)など、スピ度がマックスになっていくのですが、著者が「アセンションというより汗」(ハートからハートへ愛の周波数を伝えるというワークで知らないおじさんとあやうく胸をくっつけて抱き合う羽目に)とユーモアたっぷりでアセンション体験を書いているので面白かったです。
普通にヨガして、アロマ炊いて、ハーブティー飲んでる自分が、白魔女のスピ系だとは夢にも思いませんでした。最近は「スピリチュアル度を上げたければヴィーガン食を」「波動とオーラが変わるヴィーガン食」なんてフレーズもよく目にします。スピ系の分類にヴィーガン系がもうすぐ登場するかも。